『スパイダーマン』シリーズなど、一部を除き、これまでアメリカのヒーローキャラクター映画は、日本ではなかなかヒットしないといわれてきた。しかし、『アベンジャーズ』は日本でもオープニング6日間で13億8000万円、動員94万人を記録する好調なスタートを切った。公開12日間の成績では、2012年洋画公開作品では20億円の大台を最速で突破。この背景には、ディズニーとの関係が大きく影響しているという。

――ディズニーとの提携で、何か変わる可能性があると考えるか?

K: ディズニーは、世界中で愛されている会社だ。そしてなんといっても、映画やキャラクターについてのマーケティングや配給に関して、非常に長けており、特に、日本では大成功を収めている。今は、まだ日本ではそれほど認知度の高くないマーベルのキャラクターも、ディズニーの他のキャラクターのように、日本でも浸透させることができるのではと考えているし、またそれを楽しみにしている。

――マーベルのキャラクターは、日本ではまだ認知度は低いと考えている?

K: 私自身はその認識を強く持っている。だからこそ、これからディズニーが我々のキャラクターを日本に浸透してくれることを楽しみにしているし、今回の『アベンジャーズ』の宣伝にも非常に力を入れてくれたおかげで、『アベンジャーズ』に出演しているキャラクターに関しては、日本でもある程度、認知が高まるのではないかと考えている。この作品をきっかけにして、より多くの日本人の方にマーベルのキャラクターを知ってもらい、さらに一歩進んで、好きになってもらいたい。

――『アベンジャーズ』は、アメリカでは人気キャラクターが集結する夢の映画といわれるが、日本では、入門編のような役割と考えているということか?

K: その通りだ。特に米国の観客にとっては、いままで親しんだキャラクターが集う楽しみがある。しかし、『アベンジャーズ』は、日本だけでなく、ロシア、中国、ドイツなど、そこまで親しんでもらってはいない国でもヒットを記録している。脚本を作る際には、一人ひとりのキャラクターを知らなくても十分に楽しめることを重視したので、入門編といっては変だが、この作品からキャラクターに興味を持ってもらえればと思う。

――このほかに、日本の市場でのヒットに向け取り組んだことはあるか?

K: 単にヒーローものとしてでは、これまでの作品と同じ層にしかアピールできない。そこで、戦略的に、公開日を世界で最後にした。今年最大のヒット作となったことで、「それなら観てみよう」と考える人もいたのではないかと思う。

写真左のソーの続編は8月末から撮影がスタート。13年公開予定。写真奥のキャプテン・アメリカは、来年撮影開始で14年公開予定と、毎年公開の予定が控える (C) 2011 MVLFFLLC. TM & (C) 2011 Marvel. All Rights Reserved.
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――日本では、今後も特別な戦略をとっていくか?

K: 30~40年をかけてキャラクターをヒットさせてきた実績があるので、それを参考にしながら、マーベルのキャラクターにも応用していきたい。

――すでに『アイアンマン3』や『キャプテン・アメリカ』などの、それぞれのキャラクターの続編が決まっているが、アベンジャーズの第二弾もあるのか?

K: 8月末にロンドンで『ソー』の続編の撮影が始まる。『キャプテン・アメリカ』も来年制作が始まるが、そのなかでは他のヒーローも登場させる予定だ。また、今回の監督のジョス・ウィードンと、つい最近、『アベンジャーズ2』の監督と脚本を担当してもらう契約を結んだ。

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 米国コミックが原作のヒーロー映画は弱い日本だが、『アベンジャーズ』は幸先良いスタートを切った。この作品を足がかりに、映画からキャラクター商品などの分野での市場拡大も狙える。ディズニーとの提携は、特に日本においては、マーベルにとって大きなメリットとなっているようだ。

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(文/羽田健治=日経トレンディ)