08年の『アイアンマン』、11年の『ソー』と『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』……。マーベルは、『アベンジャーズ』の公開に向けて、この映画に登場するヒーローの単独作品を順次製作。それぞれ大ヒットを記録させることで、『アベンジャーズ』への期待感を高めてきた。自社のキャラクターを上手く使って、『アベンジャーズ』を成功させたわけだが、アベンジャーズ計画はいつから始まっていたのだろうか。

――『アベンジャーズ』は、今年のNo1ヒット作はおろか、歴代3位という世界的な成功を収めているが、これは予想通りか?

ケヴィン・ファイギ氏(以下、K): この作品は、信念をもって、約6年をかけて取り組んできた。これまでの単独作品の結果から、ある程度のヒットは期待していたが、これほどまでにいくとは正直思っていなかった。

――マーベルのコミックは長い歴史があり、ヒーローが集結するこのアベンジャーズという作品も、コミックでは1960年代からある。アベンジャーズの映画化の構想は、いつから始まったのか?

マーベル・スタジオズのCEO、ケヴィン・ファイギ氏

K: 7年前からだ。マーベルの映画スタジオであるマーベルスタジオを作るための資金が集まり、ファンドを設け、最初に制作した作品は『アイアンマン』だった。この『アイアンマン』の制作の中盤で気がついたことがあった。それは、これまでマーベルはキャラクターごとにメジャースタジオに権利を売り、メジャースタジオが制作してきたが、彼らにはできないことがある。それは、複数のキャラクターを総動員して映画をつくることだ。これは、すべての権利をもつマーベルしかできない。

 そこで手始めとして、アベンジャーズというチームを結成するニック・フューリー役のサミュエル・L・ジャクソンに、『アイアンマン』のラストシーンに登場してもらい、アイアンマンに向かって、「君は大きな宇宙の一員だ。だが、まだそれに気がついてない」というアベンジャーズをにおわせるような台詞を言ってもらうことから始めた。


サミュエル・L・ジャクソンが演じるニック・フューリー(写真右)は、『アイアンマン』や『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』など、『アベンジャーズ』より前に公開の作品にも登場 (C) 2011 MVLFFLLC. TM & (C) 2011 Marvel. All Rights Reserved.
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――それまではメジャースタジオに権利を売っていたマーベルが、映画に本腰をいれるきっかけはなんだったのか?

K: 私はマーベルで映画製作に携わって12年になるが、さきほど述べたように、当初は他のスタジオに権利を売り、他のスタジオが映画をつくってきた。資金面を彼らがリスクを負う代わりに、クリエイティブ面での采配も彼らにあり、我々はコントロールできなかった。そして、もちろんヒットすれば、利益はすべて彼らのものだった。

 しかし、『Xメン』(2000年)や『スパイダーマン』(02年)といった作品のヒットが実績となり、我々でも資金を集めることができるようになった。そこで、自社のスタジオを作るに至った。我々としては、自分たちのキャラクターなので、他のスタジオに勝るとも劣らない作品が作れるという自負があった。

――以前はパラマウントと提携していたが、ディズニーがマーベルを買収したことでその体制が変わった。なにか変化はあるか?

K: 『アイアンマン1・2』『ソー』『キャプテン・アメリカ』は、マーベル社が制作費を出し、パラマウントは、あくまでも宣伝と配給を担当していただけ。ディズニーがマーベルを買収し、今回、この作品で初めて宣伝と配給を担当してくれている。制作の資本については、すべてマーベルが行っている。これからもこの体制に代わりはない。