※この記事は日経エンタテインメント!(9月号)の記事を転載したものです。購入はこちら

 7月17日に第147回芥川賞・直木賞の選考会が開かれ、芥川賞に鹿島田真希(かしまだ・まき)(35歳)の『冥土めぐり』、直木賞に辻村深月(つじむら・みづき)(32歳)の『鍵のない夢を見る』が受賞した。

 4度目の候補で芥川賞を射止めた鹿島田は、98年に文藝賞を受賞しデビュー。以降、三島賞受賞、野間文芸新人賞受賞とすでに実力は認められている。受賞会見では、「苦節14年ですね…」と苦笑いするシーンもあった。

 受賞作は、介護が必要な夫を持つ妻の視点で描かれる救済の物語。奥泉光選考委員は、「初回投票時点で多くの票を集めた。個人史ながらも、今の日本の経済や社会を捉えていて広がりがある。過去の鹿島田作品の中で、最も優れているとの意見も」と評価した。

辻村深月(左)と鹿島田真希(右)
「読書に連れてきてもらった受賞です。いろんな先輩の小説を読み、血肉に変えてここまで来られました」(辻村)。「時間も労力もかけた作品。これで獲れたことがうれしい。身近な題材を使って、大きく抽象的なテーマに挑みたい」(鹿島田)
直木賞受賞作
『鍵のない夢を見る』
大学時代の恋人に執着する女(「芹葉大学の夢と殺人」)ほか、行き場を失った女性たちの心のひだをすくい上げた5編。(文藝春秋/1470円)
[画像のクリックで拡大表示]
芥川賞受賞作
『冥土めぐり』
過去に執着する母と弟を嫌悪する奈津子は、家族から逃れるため結婚した。障害を抱える夫にこそ救われていたと知り…。(河出書房新社/1470円)
[画像のクリックで拡大表示]