英調査会社のSTRグローバルによれば、今年1月のホテル客室稼働率および客室平均単価は世界トップ――2009年のドバイ・ショック以降、マイナス面の報道が目立つドバイだが、こと観光産業に目を転じると、堅調に推移している。埼玉県とほぼ同じ面積の3885平方キロメートル。その大半を砂漠が占有するこの首長国が世界屈指の観光立国としての地位をいかにして築いてきたのか。その観光資源を現地写真レポートを交えながら見ていこう。

あらゆるニーズに対応する多彩なホテル

 ペルシャ湾に臨むクリーク(入り江)の港町、造船や真珠採掘を主要な産業としていたこの地が現在の姿へと変貌する、その礎を築いたのが「ドバイ建国の父」といわれるシェイク・ラードシ首長だ。1966年ファテ油田で石油が発見されドバイは産油国の仲間入りをする。だがアブダビなど他の首長国に比べ産油量が少なかったこともあって当初から「原油に依存しない国づくり」を標榜。経済特区の設立など、原油によって得た利益を経済多角化のためのインフラ整備に重点投資していった。

 そのラーシド首長の三男であるシェイク・モハメッド現首長は、皇太子時代の90年代ごろから、これら超高層建造物に象徴される積極的な都市開発を推し進めてきた。彼が掲げたキーワードは「世界一」。シェイク首長は、ドバイが元々持っていた観光資源に、世界最大の人工島パーム・ジュメイラ、世界最大の商業施設ドバイ・モールといった最新の都市機能を付加することで「1度はこの目で見てみたい」と思わせる未来都市をドバイに築いた。

パーム・ジュメイラ側から市街地を見た光景。右奥方面にドバイで最初に設立された経済特区・ジュベル・アリ・フリーゾーンがある
[画像のクリックで拡大表示]
世界一の高さを誇るブルジュ・ハリファ。写真右下から上に走るのが主要幹線のシェイク・ザーイド・ロード
[画像のクリックで拡大表示]

 都市開発の中でも、観光振興という意味でホテル開発は重点課題。90年代後半からの建設ラッシュは一段落したとはいえ、ドバイのホテル数はいまだ増加傾向にある。2011年現在ホテル数は387件、5万3828室。客室数ベースで2002年比で倍以上の伸びを示している。

 そこで注目したいのが、これらホテルの格付けだ。ドバイでは1から5までの星の数でホテルをクラス分けしているが、全387ホテルのうち63件が最上級の5つ星。客室数で見ると実に全体の約40%(2万0734室)を最上級クラスが占めている。しかも、同じ5つ星といってもダウンタウン・ドバイはビジネス・エグゼクティブ向け、そこから車で数十分のパーム・ジュメイラ周辺はビーチ・リゾートというように、わずか数10km移動するだけでホテルの趣がガラリと変わる。このバリエーションの多彩さは、ドバイの大きな特徴だろう。

多彩なホテルがあるドバイにあってビジネス宿泊者に人気のシャングリ・ラ ホテル ドバイ
[画像のクリックで拡大表示]
シャングリ・ラ ホテル ドバイの上層階はホライゾンクラブというビジネス・エグゼクティブ向け専用フロア
[画像のクリックで拡大表示]
シャングリ・ラ ホテル ドバイ最上階のスイートルーム
[画像のクリックで拡大表示]
シャングリ・ラ ホテル ドバイ上層階からダウンタウン・ドバイ地区を望む
[画像のクリックで拡大表示]
アラビア伝統のデザインが施され、ドバイで最も美しいホテルとも形容されるワン&オンリー・ロイヤル・ミラージュ
[画像のクリックで拡大表示]
ワン&オンリー・ロイヤル・ミラージュには約1kmも続くプライベートビーチがある
[画像のクリックで拡大表示]
ロイヤル・ミラージュの対岸、パーム・ジュメイラ内にあるワン&オンリー・ザ・パーム
[画像のクリックで拡大表示]
ワン&オンリー・ザ・パームのヴィラ。ヴィラから直接プライベートビーチへとアクセスできる
[画像のクリックで拡大表示]