1年半でアルバム4枚発売

 バンドにとって初めてのライブは、メジャーデビュー1年後の昨年6月。ここでも、楽曲に込めたメッセージを一番に伝えたいという秋田の思いを尊重し、姿を出さない演出を選択。ステージ前面に紗幕を張り、楽曲の世界観を表すアニメやイラスト、タイポグラフィーなどの映像を投影し続ける。本人たちはその裏側で演奏するという、前代未聞のステージだった。

 表舞台には一貫して現れない一方で、2010年の1stから昨年11月の『千年幸福論』まで、わずか1年半の間にアルバム4枚をリリース。ラジオやネットなどを通じて、彼らの楽曲が音楽ファンの耳に常に触れられる状況を作り出した。徐々にその魅力が伝わり、作品を重ねるごとにファン層は拡大。『千年幸福論』はオリコンのトップ10入り目前まで迫り、今年は渋谷公会堂、SHIBUYA-AXでの2本のライブが即完売となった。

 6月13日にはメジャー5作目のアルバム『ラブソング』をリリースする。「『僕らは無力だ』と暗闇に祈るのが/本当に無力だとは信じないぜ」と歌う『祈り』など、震災の体験を受けて書いた曲が多いからか、今作は以前にも増して歌詞のメッセージ性が強い。ロック、フォーク、ハウスなど、サウンドの幅も大きく広がった。

 6月からは、全国4カ所のライブツアーを実施。将来的には、「井上陽水さんや中島みゆきさんのように歌詞の世界観が支持され、息長く活躍するアーティストを目指したい」と小林氏は語る。タイアップもほとんどなしで、ここまで来たamazarashi。この先、作品の強さでどこまで支持を広げていくのか、注目したい。

ステージ前面に紗幕を張り、楽曲ごとに作った映像を写しながら、その裏側で演奏する独自のライブスタイル。次回ツアーは6月30日スタート。東京、名古屋、大阪、福岡の4公演を予定
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5月よりタワーレコードのキャンペーン「NO MUSIC, NO LIFE?」のキャラクターに。ここでも、イラストのキャラクターと本人像を合成した覆面風
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5thアルバム『ラブソング』は6月13日発売。初回限定盤はCDエクストラ仕様で、ゲームをクリアするとレア映像が楽しめる仕掛けも。(ソニー・アソシエイテッド/2800円)
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(文/つのはず誠)


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■表紙:ももいろクローバーZ
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 かつては、CDの販促のためにライブを行うと言われていたのが、今やライブこそがビジネスの中心に。ライブに力を入れる傾向は、役者などほかの分野にも広がっています。そこで、タレントのインタビューや業界キーパーソンの取材から、「会いに行けるエンタテインメント」の最新事情に迫りました。