付加物なしで40km/Lは現実に可能

 続いて壇上に上がった東京大学教授の津江光洋氏は、次世代ガソリンエンジンがどのように効率化されているかを報告。サーモグラフィーなどを使った視覚化により、わかりやすく解説した。

 10年前のガソリン車の平均燃費は15.3km/L。対して、最新の次世代ガソリン車は30km/Lまで向上した。ここに至るにはどういった改良が行なわれたのか? 「トランスミッションの伝達効率を上げることや、車体の軽量化なども重要ですが、エンジンとしては熱効率の向上がもっとも重要です。従来は30%ほどしか利用できていなかった。つまり70%は損失だったわけです」。

東京大学 大学院 教授 津江光洋氏

 「損失のうち排気損失、つまり排気ガスとして放出されるエネルギーが30~35%、冷却損失が25~30%あります。ほかにも機械損失などもありますが、この2つの損失が非常に大きい。逆にいえば、この損失が減っていることがわかれば、エンジンの高効率が検証できることになります。そこで今回、排気ガス温度と冷却水の温度を従来型エンジンと次世代エンジンで比較し、サーモグラフィーで可視化しました」。

 原理は簡単で、効率よくガソリンが燃えていれば、それだけ排気ガスや冷却水(エンジン)の温度が下がることになる。テストに使用したのは最新の1300ccエンジンと、2007年に発売された同クラスの1世代前のエンジン。同一条件・同一出力で作動させ、エンジンや排気管の温度を測定した。

 結果は予想どおり。排気ガス温度では従来型エンジンが600度、次世代エンジンは513度と、87度も低下した。冷却水では、従来型が88.5度、次世代が79.6度と、8.9度低下した。さらに具体的な燃料消費も計測されたが、従来型は次世代に比べて約15%余分にガソリンを消費していることを確認したという。

次世代エンジンの排気ガス温度は従来型エンジンに比べ低下

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 「今後の展望として、熱効率を45%まで引き上げることを目標に技術開発を進めています。現在の次世代エンジンは熱効率が約40%ですが、これで燃費を30km/Lまで伸ばすことができた。これを45%まで引き上げれば40km/Lが可能になると考えています。もちろん熱効率だけでなく、駆動系の効率化なども必要ですが、研究者の間では実現可能な目標だと捉えています」。

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