2011年5月9日、米国のテネシー州である訴訟の判決が下された。離婚後に子供を無断で日本に連れ帰ったとして、同州の米国人男性が日本人の元妻を相手取って損害賠償を求めていた裁判で、元妻にはなんと610万ドル(約4億8900万円)という巨額の支払い命令が出された。原告の男性は2年前、日本から子どもを米国に連れ戻そうとして逮捕され、日米で大きな話題になった人物だ。

 この判決から11日後、日本政府はハーグ条約への加盟の方針を閣議了解。政府は国内法策定に向けて動き出している(首相官邸ホームページ「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の締結に向けた準備について」)。

 ハーグ条約は、国際結婚が破綻した夫婦の子供の扱いについて定める多国間条約。これに加盟することによって、今後日本は深刻な問題を抱えることになる。

 しかし日本にいる限りにおいては、身近に当事者がいなければ、何がどう深刻なのか今ひとつピンとこないかもしれない。そこで今回はハーグ条約についての基本的な解説を試みる。なお、筆者は米国在住であり、この記事は米国の事情を基に執筆した。