シマノではない“日本製のパーツ”にこだわり

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 ただ、この形により、チェーンとフレームの隙間はわずかしかない。それでもブリヂストンの安全基準では、チェーンを外側と内側の両側からギアガードで守る、ダブルガードにしなければならない。これによりチェーンはずれが最小限に抑えられ、パンツの裾がギアに絡まったりせず、チェーンの油汚れの衣服への付着を防ぐことができる。このチェーンガードは、日本のギアクランクメーカー、SUGINOが製作した。

 「ブリヂストンは、シマノのパーツを使うことが多いが、ヘルムズではそれをあえて、すべてではないにしろ、シマノではない“日本製のパーツ”を使って作り上げたいと考えた。だからチェーンガードはSUGINO、ブルホーンハンドルは日東、ペダルにはミカシマ(H1X)を採用している。シートポストはイタリア製だが、なるべく日本製で仕立てることで、ユーロバイクなどに出展し海外でも脚光を浴びてみせよう、という気持ちもあった。ただ結果的に、ハンドルやクランクなどパーツに対する問い合わせが多くなってしまったのも事実(笑)。パーツ売りはしていないけれど」(瀬戸氏)。

 またこんな形状をしながらも、スポーツ用自転車の先進国であるヨーロッパで制定したENに日本の道路事情、日本人体格差などを考慮し、さらに環境に優しい部材を使用する「スポーツ用自転車安全基準(SBAA)」に準拠。これはブリヂストンの設計陣が譲らないところだ。

 安全基準を満たしているからこそ、「無茶な設計はしていないので、“前傾気味にはなるけど見た目の印象ほどは乗りにくくなく、普通だね”と言われる(笑)」と瀬戸氏。

 高級なパーツを使うことで基本性能を突き詰めるのではなく、日本のパーツで、見た目の良い自転車に仕上げる。当然そのこだわりは昨年の発売時点で自転車好きたちから注目を集め、昨年の発売早々、反響もあり滑り出しは良かったが「値段が高くて、ほしくても買えない。17万円台であれば、ロードバイクでも買える」という声もあったという。やはり、クロスバイク同様、10万円の壁は大きい。

 「さらに言えば、昨年のモデルH1はフレームサイズが530mmと550mmしかなかった(530mmで身長171cm以上が対象)。形やコンセプトを気に入って試乗しに来ても、がっかりして帰る人がいた。だから今年は、価格が10万円を切ったH10で、161cmの人から乗ることができる510mmのフレームサイズを用意した」(瀬戸氏)。

 結果的に、この510mm(Sサイズ)のものが一番売れているそうだ。

 「9万9800円のモデル、H10を出すことでユーザーの裾野が広がる。これにより、クロスともロードともピストとも呼ばれない、新しいジャンルが広まれば」と瀬戸氏はいう。ブリヂストンの本流からは外れているとは思う、と本人は言うが、日本から発信する新たなスタイルとして、トレンドとなるかもしれない。

(文/山田真弓=日経トレンディネット)