富士フイルム

FinePix X100

実売価格:12万8000円

発売日:2011年3月5日

 富士フイルムが2011年3月5日に発売した「FinePix X100」(以下、X100)は、35mm判換算で35mmに相当する画角を持つデジタルカメラだ。レンズは固定式となっており、レンズ交換はできない。クラシックカメラを強く意識したデザインが印象的で、思わずフィルムの巻き上げレバーを探してしまいたくなる。

 発売前から予約が殺到したことに加え、3月11日に発生した東日本大震災の影響で工場が被災したことで、品薄の状況が続いていた。だが、ゴールデンウィーク直前になって、ようやく入手しやすくなってきたようだ。この春注目の1台の実力を改めて検証したい。

レンズは交換できないが、35mm相当の単焦点レンズは扱いやすい

 X100のこだわりポイントの1つがレンズだ。冒頭でも述べたように、35mm判換算の画角は35mm相当で、開放F値がF2と明るいのもポイントだ。カメラのデザインを見ると、レンジファインダーカメラのようにレンズ交換できるようにも思えるが、残念ながら固定式となる。だが、APS-Cサイズの大型撮像素子と明るい大口径レンズを搭載しながらコンパクトなボディーにできたのは、レンズ交換式ではないからだとメーカーは説明している。

 35mm相当という画角は、広角でもなく標準レンズほどでもない、ちょうどよい印象を受ける。写真の勉強をするなら50mmとよく言われたりするのだが、35mmの方がさまざまなシーンで扱いやすい画角だといえる。手ぶれ補正機構は搭載していないが、レンズの明るさと焦点距離を考えればテクニックでカバーできそうだ。

 レンズは、放送用や業務用ビデオカメラで使われている同社のブランド「フジノン」が付けられている。絞りを開放にすれば、前後のボケを生かした撮影ができる。同時にソフトな描写になるため、やわらかい雰囲気の写真が撮れる。

レンズのゆがみは皆無ではないが、35mm相当の画角のレンズとしては自然だ。こういった被写体だとゆがみが目立ちやすいが、不自然に感じる大きなゆがみはないし、付属のソフトを利用すればある程度補正できる。普通のスナップ撮影で気になることはほとんどないだろう(ISO200、1/350秒、F4.0)(画像クリックで拡大)

フィルムシミュレーションには、カラーだけでなくモノクロの項目もある。階調が豊かなので、モノクロにしても不自然ではなく、見ていて飽きない写真に仕上がった。かつて白黒フィルムを使っていた時に、コントラストを調整するためレンズの前にカラーフィルターを付けて撮影していたが、それをシミュレートできる項目もある(ISO200、1/85秒、F2.0)(画像クリックで拡大)

本体はずっしりと重いが、大きなポケットの付いたコートなら入れられる大きさだ。レンズは極端に飛び出していないので、カバンに入れてもそれほどかさばらない。電源をオンにしてからそれほど待たされずに撮影できるため、日常のスナップ撮影にも最適だ(ISO200、1/210秒、F5.6)(画像クリックで拡大)

最低感度が高くシャッタースピードもあまり速く設定できないため、日中の屋外で絞りを開けて撮影しようとするとすぐに露出オーバーの表示が出てしまう。そんな時には、3段分の光を減らしてくれる内蔵のNDフィルターが役に立つ(ISO200、1/750秒、F2.8)(画像クリックで拡大)

 オートフォーカスは、苦手な被写体と得意な被写体がはっきり分かれるようだ。シーンによってピントが合う時間が長くかかることもあるが、全体的には遅いとまでは感じない。オートフォーカスの精度は、若干気になる場面があった。特に、被写界深度が浅くなる絞りを開けた状態での撮影では、ピントが確実に合っているかしっかり確認する必要があるだろう。