全国の書店員が「一番売りたい本」選ぶ、毎年恒例となったベストセラーを生む賞「本屋大賞」。12日に8回目となる2011年の大賞が発表され、東川篤哉(ひがしかわ・とくや)の『謎解きはディナーのあとで』(小学館)に決まった。

 受賞した東川氏は、「作者が思いもよらないヒットになった」と喜びを表明。受賞スピーチでは、作品を押し上げてくれた書店員、作品を作る際にかかわった編集者らに感謝の意を述べ、「スピーチでは何をしゃべろうか会場で考えようと思っていたが、取材攻めで考える暇がなかった。早く4分ぐらい経たないか……」と会場を沸かせた。

 東川氏は、1968年広島生まれ。岡山大学法学部を卒業後に、会社員やアルバイト経験を経て、02年に架空の地方都市を舞台にしたミステリー『密室の鍵貸します』で光文社カッパノベルスの新人賞「Kappa‐One登竜門」の第一期生の1人としてデビュー。謎解きとユーモアを掛け合わせた「ユーモアミステリー」といわれるジャンルで執筆を続け、著書には、デビュー作を含む烏賊川市シリーズ、架空の高校の探偵部を中心とした鯉ヶ窪学園探偵部シリーズなどがある。

 大賞受賞作『謎解きはディナーのあとで』は、東京都国立市を舞台に、大企業の令嬢で新米刑事の宝生麗子と、その執事・影山が事件に挑む推理小説の短編集。なかなか事件を解決できないお嬢様・麗子に、彼女から得た情報だけで影山がスルスルと謎を解き明かしていく。気が強くて小生意気な麗子に対し、「失礼ながら、お嬢様はアホでいらっしゃいますか?」などと影山が毒舌を吐くコミカルな掛け合いと、キャラクタ―の立ち具合、クイズ感覚でライトに楽しめる謎解きが読みどころだ。

 昨年9月に発売された『謎解きはディナーのあとで』は、その読みやすさから、じわじわと書店で口コミが広がり各書店で大きく展開されるようになった。すでに60万部を売り上げ(4月11日付オリコンランキングより)、100万部を発行するベストセラーとなっている。今回の本屋大賞受賞は、そんなベストセラーに太鼓判を押した形で、今後さらに部数を伸ばすことだろう。『謎解き~』までは一般的な知名度の低かった東川にとっても、大出世作になったといえる。

中央にいるメガネをかねた小柄な男性が東川氏(画像クリックで拡大)