川越達也、野崎洋光…和洋の人気料理人も参戦

■あの人気イタリアンシェフとコラボ
「川越達也イチオシ キムチ」(美山)

 2010年9月発売され、売り上げを伸ばしているのが「川越達也イチオシ キムチ」だ。販売元の美山は1994年からキムチを製造している中堅メーカー。なぜイタリアンのシェフである川越氏とキムチを結びつけたのだろうか。

 「川越氏の料理はジャンルにとらわれず、常に新しい素材やレシピに挑戦する独自のスタイル。その発想とチャレンジ精神で、売り場が活性化できるのではないかと考えました。またキムチを使った魅力的な料理を提案していただくことで、新たな需要が創造できると期待しています」(美山 広報部)。川越氏の望む「料理素材としてもおいしいキムチ」に近づけるため、開発段階ではそのまま食べた時と料理素材として使った時、どちらもおいしく感じられる甘さと辛さのバランスに苦心したという。美山では、今後も川越シェフ監修による新しいキムチ商品シリーズを展開する予定だ。

「川越達也イチオシ キムチ」(200g、248円)。川越シェフの顔を前面に押し出したパッケージデザインは売り場でも目を引く。これほど大きく顔写真を出したキムチ製品は今まで売り場にはなかったので、かなり勇気がいったとのこと

■あのミシュラン2つ星の和食料理人も
「野崎さんのまかないキムチ」(エールジャポン)

 「川越達也のイチオシキムチ」に遅れること5か月、2011年1月末に日本料理店「分とく山」料理長・野崎洋光氏が監修した「野崎さんのまかないキムチ」が発売された。野崎氏といえば、2011年のミシュラン東京で2つ星を獲得している「分とく山」の料理長であり、2004年のアテネ五輪で日本代表野球チームの総料理長も務めた料理人。和食の第一人者がなぜ、キムチ監修に携わったのか。

 販売元である「エールジャポン」は、主に酒類や飲料などの加工食品の企画販売を手がけていたが、「こういう時代に強いのは日常的に消費する基本的な食品」(代表の丹羽正之氏)と考え、銀行員時代の赴任先・韓国で親しんでいたキムチに着目。さらにブランド力が必要と考え、食のプロ向けの情報誌を運営するソトワール・プロモーションの協力を得て、野崎料理長にキムチの監修を依頼したという。

 一方の野崎料理長は従来から「天然素材を使った自然で安全な食」が信条。化学調味料を使わない料理や発酵食品の重要性を訴えていることで知られており、キムチを高く評価しているという。普段のまかないでもよく食べ、韓国に何度も足を運んでは研究しているほどだが、日本の工場で生産されている多くのキムチには化学調味料が使われているという現実を残念に思っていた。

 そこで野崎料理長がこだわったのが、「化学調味料無添加」。しかしほぼすべての工場で「不可能」と断られてしまい、野崎氏の故郷にある「会津天宝醸造」で試作が始まったが、化学調味料無添加で同じくらいのうまみを出すのは至難の業だった。

 1回の漬け込みに2週間ほどかかる試作が十数回に及んだ。また化学調味料なしでうまみを出すために、昆布とゴマの量は一般的なキムチの約3倍。原材料費から価格は200gで398円と「川越達也のイチオシキムチ」の約2倍と跳ね上がってしまった。しかし野崎料理長は「安くてボリュームのあるキムチが必要な家庭が多い一方、健康によくておいしいものを少しだけ食べたいという方も多いはず」という。ほとんど広告をしていないにもかかわらず、ほぼすべての大手スーパーから引き合いがあり、テレビ通販からも打診が来ているという。

「野崎さんのまかないキムチ」(200g、398円)。漬け液はリンゴ、砂糖、食塩、唐辛子、白玉粉、リンゴ酢、清酒、玉葱、胡麻、ニンニク、鰹節、魚醤、生姜、アミエビと自然素材のみ(画像クリックで拡大)

化学調味料無添加のため、「一般的なキムチと比べると、最初に食べた時のインパクトは弱いかもしれない」(販売元「エールジャポン」の丹羽代表)。しかし何度か続けて食べると、自然素材本来の旨さが体にしみこむように感じられるはずだという(画像クリックで拡大)