注目はボーダレスな女性作家

 続いて、女性作家による作品が多数入っていることも特徴的。トップ10のうち8作、15位まで広げると12作が女性作家の手によるものだ。アンケート回答者に占める女性書店員の割合が多いことも影響しているだろうが、掲載誌は女性向け雑誌に偏っているわけではない。上位にランクインした『3月のライオン』、『青の祓魔師』、9位『ましろのおと』は、男性向けのヤング誌や少年誌で連載されている。女性作家ならではの細やかな心情描写を生かしつつ、男性誌向けにダイナミックさやメリハリも加えた作品は、男女、年齢を問わず広く受け入れられる可能性がある。

 一方、マンガ界全体のトレンドもランキングに表れている。育児をする男性を描いた作品が複数入っていることだ。6位『学園ベビーシッターズ』は、男子高校生が学校内にある保育園で働き、『ばらかもん』は、子育てはしないものの、不器用な青年が田舎に暮らす純粋無垢な子どもたちとの交流を通じて自分を変えていく。

 さらに、「料理上手」なことがモテ男のスキルとして描かれることが増えており、『flat』は、お菓子作りが趣味の男子高校生が主人公である。「子育てや料理など、日常回帰の傾向が顕著ですね。女性作家が男性誌でも描くようになり、女性の抱く“理想の男性像”がメジャーになってきているのかもしれません」(藤本氏)。

 「女装する少年」もマンガ界のはやりだ。11位『うそつきリリィ』は女子高生と、女装を趣味とする美少年の学園ラブコメディ。13位『男子高校生の日常』では、第1話で主人公の少年が妹の服で女装してみたりする。とくに深刻になることもなく異性の格好をし、それを周囲もポジティブに受け入れる。そんな自由なノリの作品が、今後さらに注目されそうだ。

 繊細な感情表現を武器とする女性作家の作品や、かつては「女のもの」とされていた育児や料理をする男性主人公が共感を呼ぶ――。書店員おすすめ作品から見えてくるのは、ファッションやルックスでも、男女の垣根を飛び越えたボーダーレスな感覚を持った作品が広がっていきそうだということだ。

(文/芝田 隆広、平山 ゆりの)

日経エンタテインメント! 4月号が発売中!

メイン特集は「世界が認めた「ジャパニーズ」」

■2011年3月4日発売
■特別定価 580円
■表紙:二宮和也

 今年1月に、二宮和也と松山ケンイチによる『GANTZ』の日米同日舞台あいさつが話題になり、昨年から今年にかけては山下智久やKAT-TUNといったジャニーズアイドルが韓国・台湾などをツアーの一環で回り、AKB48はロシアやシンガポールほか世界各国のイベントでライブを披露――。アニメやマンガといったいわゆる「クール・ジャパン」と呼ばれたジャンル以外にも、最近は、続々と日本のエンタテインメントが海外に進出しています。また、昨年6月には経済産業省内に「クール・ジャパン室」が立ち上がり、日本のクリエイティブ分野を戦略産業化しようという動きもあります。しかし一方で、日本国内でK-POPブームが巻き起こっているように、アジア各国の動きは日本以上に活発化しています。そこで、日本のコンテンツの何が強みなのかを改めて浮かび上がらせつつ、映画・音楽・テレビなどの各業界が今、どのように海外進出に取り組んでいるのかをリポートしました。

 詳しくはこちら。購入はこちら