秀逸だった松本孝弘のスピーチ

 世界最大の音楽の祭典グラミー賞。第53回の授賞式は2月14日(日本時間)、米国ロサンゼルスで開催された。

 最多10部門にノミネートされたラッパーのエミネムや、6部門ノミネートのレディ・ガガ、やはり6部門ノミネートの新世代カントリーグループ、レディ・アンテベラムらの賞レースが事前には話題の中心だった。しかし、蓋を開けてみると国内では全く異なる見出しで、例年の数倍の報道がテレビニュースなどで流れた。

 多くのグラミー賞関連報道は、いずれも「日本人が4人同時受賞」を称えるもの。過去の日本人グラミー賞受賞者は1987年の石岡瑛子、1989年の坂本龍一、2001年の喜多郎、2008年の中村浩二の4人のみ。今回の4人同時受賞がいかに前例のない快挙かが分かる。

 では、実際の会場で4人の受賞時の雰囲気はどうだったのだろうか。

 一番盛り上がったのは、やはり「最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞」をラリー・カールトンと受賞したB'zの松本孝弘だ。

 グラミー賞の授賞式の場に、世界中の音楽業界関係者が集まるが、日本人の取材陣は極めて少数。当初、ほぼすべての観客は「過去3回グラミー賞を受賞している大物ギタリスト、ラリー・カールトンが仲良く肩を組んでいる、もう1人は誰だろう?」というざわめきだった。秀逸だったのは松本のスピーチ。英語で自身のフルネームと日本人のギタリストであることを簡潔にアナウンス。最後だけ観客の誰もが分かる日本語で、「どうもありがとうございました」と締めた。

 続きラリーは「私はプロデュースに関して、松本から多くのことを学んだ」と松本の才能をアピール。観客の興味は一気に松本に向けられた。

 松本は終始、自信に満ちあふれた満面の笑み。受賞後「グラミー賞は僕自身の長年の目標、あこがれ続けてきた夢でした。これに甘んじることなく、明日からまた新たな音楽作りに精進していきたいと思います」とコメントをした。今後のさらなる飛躍が期待できそうだ。

B'zの松本孝弘(右)とラリー・カールトン(左)。全身から喜びがあふれる松本と、松本をフォローする、場慣れしたラリー。2人の息がいかに合っているかが伝わってきた(画像クリックで拡大)