JINSが軽量フレームを先駆けて投入したワケ

 まず気になるのは、JINSがなぜ今軽量フレームを仕掛けたかということだ。

 2001年に服飾雑貨製造卸業からスリープライスの格安メガネ業態に転じたJINS。2008年、格安メガネショップの乱立やリーマンショックの影響で売り上げの低迷に悩んでいた。「『ユニクロといえばフリース』というように、自社ブランドの代名詞となる看板商品を作らなければ」と考えていた田中 仁社長が目を付けたのが、スイスのEMS社が開発した素材「TR-90」だ。

 この素材は軽くて復元力が高く耐久性もあるため、医療器具にも使用される素材だ。ただ「展示会などで置かれていたTR-90のメガネのサンプルはチープな作りで、国内のメガネメーカーは見向きもしない代物だった」(JINSを運営するジェイアイエヌの広報・PRチーム中島英摩氏)という。しかし鋳型を起こしてそこに樹脂を流し込んで成型する製法のため、板を削り出して成型する通常のプラスチックフレームよりデザインの自由度が高いという特長があった。田中社長はそこに着目し、新フレームの開発を決意したという。

 さらに同社は「エア・フレーム」発売を機に、店舗ブランドを「JIN's GLOBAL STANDARD」から「JINS」に変更。新ブランドイメージを印象づけるため、それまで年間1億円ほどだった広告宣伝費を、発売時の1か月で約4億円投下した。結果、発売からわずか3か月で10万本を超える売り上げを記録。第2弾(2010年3月発売)までで累計50万本に達し、第3弾(2010年9月発売)は4か月間で約50万本を売り上げた。

 エア・フレームは手ごろな価格と豊富なデザインバリエーションが大きな特徴。最新の第3弾では1型あたり最大40色あり、6型合計で140パターンの組み合わせから選べる。さらに、「TR-90自体が柔らかくてしなりがある素材なので、テンプル(つる)にメタル芯を入れて締め付けなくても柔らかく顔に沿う」(中島氏)のも大きな特徴だ。

エア・フレーム発売時には人気俳優のオダギリジョーと栗山千明を起用し、「私は、軽い男(女)です」という奇抜なテレビCMを中心にした積極的な広告戦略を打ち出した(画像クリックで拡大)

超軽量弾力素材「TR-90」の特性を生かしたエア・フレームのテンプルは、驚異的な弾力性と復元力。ここまで曲げても折れない(画像クリックで拡大)

JINS原宿店に並べられたエア・フレーム。ひとつの型に対して多数のカラー・バリエーションがあるのが特徴(画像クリックで拡大)