1兆円規模の新市場が生まれる

――2010年のSNSを振り返って、何が大きなトピックだったか。

原田明典氏(以下、原田):モバゲータウンの「怪盗ロワイヤル」をはじめとした、いわゆるソーシャルゲームがブームになった。市場は数百億円規模になったようだが、「ソーシャル」にはさらに大きな可能性がある。

 例えば音楽の場合、有名アーティストのCDを買う消費者が100万人いるとする。対して、カラオケでその曲を歌ったり、聞いたりする消費者は、また別の大きな規模の市場を生み出す。このとき重要なのは、多くの消費者はその曲が好きというより、みんなで盛り上がりたいがためにカラオケに行く、ということだ。

 お酒が飲みたいというより、話をしたいがために居酒屋へ行くのも同じ。ミクシィのソーシャルゲーム「サンシャイン牧場」も、ゲームの攻略が目的ではなく、自分の牧場に友人が集まり、交流することを目的としている。こうすることで、単純に攻略を目指すゲームよりもはるかに多くの人が集まる。

 2011年以降はあらゆる業界で、こうした「ソーシャル化」ともいうべき価値観の転換が起こる。単なる消費が交流のための媒介物へと変化し、「共感消費」「共同消費」とでも呼ぶべき巨大な新市場ができる。すべて合わせると1兆円を超える規模の市場になるだろう。

 その意味では、ソーシャルゲームの市場もまだまだ黎明期。今「ソーシャルゲーム」と呼ばれているものの多くは、どちらかといえば「コミュニティゲーム」と呼ぶべきものだ。ゲームの攻略ではなく友人との交流を目的にする、という価値観の転換が本格的に進むのはこれからだろう。

ソーシャルゲームの代表格の一つ「サンシャイン牧場」。友人の数が多いほどゲームが進めやすい(画像クリックで拡大)