「KORG iMS-20 for iPad」(以下、iMS-20)という1800円(通常価格3800円、2011年1月31日まで値下げしている)もするiPad用アプリが好調だ。2010年11月9日の発売直後からApp Storeの「トップセールス」で3週間に渡り1位を続けてきた。いわゆる「楽器アプリ」としては異例のことだ。

 iMS-20は、アナログシンセサイザーの銘機「KORG MS-20」とステップシーケンサー「KORG SQ-10」をiPad上で再現したものだ。本物同様の音作りが楽しめるほか、6トラックのアナログドラムマシーン、各種エフェクターを内蔵し、このアプリだけで音楽の制作を可能にしている。開発したのは、楽器メーカーのコルグと今年設立された音楽ソフトメーカーのデチューンの2社だ。

「KORG MS-20」。小型で安価な機種ながら、パッチケーブルで接続を変えられる本格派だった。現在でも中古市場で人気が高い。1978年発売。当時の価格は9万8000円(画像クリックで拡大)

「KORG SQ-10」(写真右)。つまみで音程を設定するステップ式のアナログシーケンサーで、MS-20と並べて使うことを前提にデザインされていた。1978年発売。当時の価格は6万4000円(画像クリックで拡大)

iMS-20の起動直後の画面。マルチタッチを活かしてキーボードを弾きながらつまみの操作が可能。ただしモノフォニックシンセのためキーボードでは単音しか弾けない。画面のほかにキー幅の異なる3種類のキーボードも別に用意されている(画像クリックで拡大)

iMS-20はMS-20とSQ-10が合体したデザイン。下半分のMS-20のシンセサイザー部、上半分がSQ-10を再現したシーケンサー部になる。それぞれ本物同様、仮想のパッチケーブルで接続して音作りをする(画像クリックで拡大)

 メーカー自ら手がけたソフトだけあって、その完成度は「楽器アプリ」の中でも断トツだ。音、操作感、グラフィックス、どれもオリジナルを忠実に再現している。しかし、復刻版ソフトとしての出来以上に注目すべきは、曲や音色のデータをアプリ内からクラウドに保存する「Sound Cloud」への接続機能だ。世界中のユーザーと音楽が共有できる未来的な機能だ。

 しかし、シンセが分からない人には、意味不明のツマミとボタンが並ぶ、ひたすら難解なだけのアプリでもある。それが大ヒットしているのはなぜなのか。コルグはニンテンドーDS用ソフト「KORG DS-10」(関連記事)を、ゲームソフトメーカーのAQインタラクティブと共同開発し、大ヒットさせた経緯がある。またコルグのiPadアプリとしては「iELECTRIBE for iPad」に次ぐ2作目だ。楽器メーカーとして、こうしたアプリを開発する意図を開発チームに聞いてみた。

左からコルグ開発部の福田大徳氏、コルグ商品企画室室長の佐藤隆弘氏、デチューン開発本部長の佐野信義氏、デチューン代表取締役の岡宮道生氏(画像クリックで拡大)