強すぎる「キリン フリー」に他社は“ゼロ系”で対抗

 キリン以外の3社にとっては、ビールらしさの追求以外にも大きな課題があった。市場の70~80%を制圧していた、“強すぎる”キリン フリーへの対抗策である。「同じ土俵で勝負するのではなく、新たな価値が必要だった」(アサヒビール)。

 8月、アサヒとサントリーが、くしくも全く同じ対抗策を投入する。多くのジャンルでブームとなっていた「ゼロ系」である。アサヒがアルコールだけでなくカロリーゼロの「ダブルゼロ」を、サントリーがさらに糖質もゼロとうたう「オールフリー」を発売したのだ。健康志向は世の中の流れ。そして、「ビールのカロリーは多くがアルコール由来。アルコールがゼロだからこそカロリーもゼロにできる」(サントリー酒類)。必然の展開ともいえた。

 その効果は大きかった。オールフリーは生産が追い付かず、一時販売休止に追い込まれるほどの人気。発売直後の9月単月では4割を超えるシェアを獲得したという。ダブルゼロも当初の販売目標を2倍に上方修正した。

 キリンも4月に、方向性は違うが健康系の付加価値を付けた新商品を投入している。休肝日にもビールが飲みたくなるビールファンに向け、健康成分オルニチンを配合した「休む日のAlc.0.00%」だ。「ビール類市場の縮小の理由として、健康志向の高まりも大きいと考えている。仮にビールと全く同じ味が実現できれば、市場の何割かを健康系が占めてもおかしくない」(メーカー)。この9月はビール市場全体が下げ止まっているというデータもあり、各社は急拡大しつつある新カテゴリーへの期待感を強めている。

健康系

 アルコールだけでなくカロリーなどをゼロにした「オールフリー」「ダブルゼロ」が9月に登場。また、健康成分のオルニチンを配合した商品も登場している。

オルニチンを配合した「休む日のAlc.0.00%」(画像クリックで拡大)

アルコールだけでなくカロリーもゼロの商品が相次いだ(画像クリックで拡大)