日経トレンディ

 次のメジャーヒットは地方で生まれる――。普段あまり注目されることがない地方でも、新たな商品、サービスが次々と登場している。しかも、全国に人気が広がる実力を持ったものは数多い。「日経トレンディ」12月号(2010年11月4日発売)「2011年ヒット予測ランキング」では、全国47都道府県の情報を集め、その地域以外でも人気を博しそうな商品やサービスをリストアップした。そのなかでも、実力のあるものを選りすぐって紹介する。

【石川県】トラタニの「ずり上がらないショーツ」

 石川県の無名メーカーのショーツが、楽天市場で人気を集めている。その名前は「トラタニ3Cショーツ」。楽天市場のショーツ部門で週間売り上げの1~5位を独占したお化け商品だ。“動いてもずり上がらず、アウターのラインが出ない”というのが売りだ。

「トラタニ3Cショーツ」。尻にフィットし、動いてもずり上がらないのが特徴だ(画像クリックで拡大)

 製造元のトラタニは、石川県かほく市のメーカー。もともとは大手メーカーのガードルの下請けメーカーだったが、6年がかりで独自の商品を開発・商品化した。

 「日本人の尻は横広がりでボリュームが少ないため、従来の型紙のショーツではフィットせず、生地の伸縮性でもカバーできない」と虎谷生央社長は話す。そこで、尻を丸く包み込む新しい立体裁断を採用した。目立ちにくい太ももの境目にフィットするので、アウターにラインが出ない。そのうえ、毎日履くことでヒップアップにもつながるという。

 04年に発売した当初は自社のウェブサイトでの通販だけだったが、楽天市場に出店したことで人気に火がついた。現在は月に3~4万枚を売り、累計販売枚数は220万枚に達する。

 この人気を聞きつけた伊勢丹が、今年から「オンリー・アイ」ブランドで取り扱いを開始。来年は東京に直営店を出店し、男性用ショーツも販売する計画だ。

【岐阜県】岩田鉄工所の電動伸縮杖「伸助さん」

 岐阜県の鉄工所が開発したアイデア商品が売れている。電動で伸び縮みする、その名も「伸助さん」という名前の杖だ。今年1月の発売以来、ネット通販で2500本を売り上げた。

一見、普通の杖のように見えるが、グリップの赤いボタンを操作すると杖が伸び縮みする(画像クリックで拡大)

 最大の特徴はグリップのボタンひとつで簡単かつ素早く伸び縮みすること。長さは60~100cmで、階段の上り下りの際に段差に合わせて長さを調整でき、電車の車内など外出先でも邪魔にならない。2万2000~2万5000円と杖にしては高額だが、主に年配の親などへの贈答用として売れているという。

 開発したのは岐阜県羽島市の岩田鉄工所。金属の精密加工が本業で、医療機器、航空機、自動車など様々な分野の工業用部品を生産している。しかし、不況で受注が減少。「自ら仕事を作らなければならず、製品開発を始めた」と岩田勝美社長は話す。

 杖は軽さと丈夫さの両立が求められる製品。航空機にも使われるカーボンパイプを使うことで、グリップ内部にリチウム電池を内蔵しながらも、重さは一般的な杖と同等の360gに抑えた。「単純な構造だが、強度保持などには工夫が必要だった。精密加工のコア技術があったからこそ商品化できた」と岩田氏。

 同社が開発したオリジナル商品は「伸助さん」だけに留まらない。電動式の雑草取り機「抜けるンですD」もその一つ。テレビで紹介されたところ、3500台以上の注文が殺到し、生産が追いつかずに長く品切れ状態になったという。

 オリジナル商品の売り上げは年間2億円に達し、事業全体の3割を占める第2の柱にまで成長。2011年には、伸助さんをアレンジして、伸び縮みする松葉杖も発売する計画だ。