※この記事は日経エンタテインメント!(10月号)の記事を転載したものです。購入はこちら

 音楽見本市「TOKYO BOOT UP! 2010」が9月3日から5日まで開催された。新宿LOFTやMARZなど5つのライブハウス回遊型の、ライブを中心とするこのイベントは、一見するとフェスのようなものかと思えるが、その狙いは大きく異なる。

 「TOKYO BOOT UP!」は、表舞台に立つチャンスがつかめないインディーズのアーティストたちに、注目が集まるきっかけをつくり、日本の音楽シーンを活性化させる狙いのイベント。国内外のプロデューサーやマネジャー、メディアやアーティスト支援サービス業者など、音楽業界を構成する面々が多数来場した。

 仕掛け人は、渡邉ケン氏。DREAMS COME TRUEの海外進出に尽力し、多数の海外アーティストの招へいにかかわるなど、35年間にわたり音楽業界で活躍を続けている。

 音楽業界の酸いも甘いも知る渡邉氏は、自ら動いた経緯を、「北米には1986年から続く、サウス・バイ・サウスウエストという音楽見本市がある。インディーズアーティストのマネジャーたちが、自分たちのアーティストを売っていく場を作ろうと呼びかけたのが始まり。日本でも、それに準ずるイベントは何度か開催されたが、来場者のチケット代で利益を得ようとするなど、存在意義が見本市と違う方向に進んでいた。であれば自分で立ち上げるしかないと考えた」と語る。

 「TOKYO BOOT UP!」出演アーティストの選考にあたって、審査委員は、渡邉氏の人脈で、トーキング・ヘッズのクリス・フランツや元PILのマーティン・アトキンス、元ワーナーミュージック社長のダニー・ゴールドバーグらビッグネームが務め、話題づくりに一役買った。ライブ会場との交渉も渡邉氏自らが行ったという。なぜ、ここまで日本での音楽見本市開催に力を注ぐのか。