【グラビアイメージビデオ】アダルトのネックは「モザイク」と「額縁」

 「ほかの3Dコンテンツと比べて、視聴数が多い」(J:COMオンデマンドを運営するジュピターテレコム)のがグラビアアイドルのイメージビデオだ。J:COMオンデマンドでは9月上旬現在、3タイトルを配信している。

 3Dイメージビデオの魅力は何といっても体のラインが立体的に見えることだ。ところが、実際に見てみたところ、全身が写っているときは迫力があるのに、体の一部分をアップにすると、立体感が薄れてしまう。

 立体映像ジャーナリストの大口氏は「額縁効果のため」と指摘する。立体的に写したい対象物(この場合はグラビアアイドル)の一部が画面の枠に見切られると、対象物が枠に張り付いて立体感が抑えられてしまうのだ。2Dでは一部分にズームしたほうが迫力が出るが、3Dでは逆効果になってしまい、「3Dならではの撮影の仕方を研究する必要がある」(大口氏)。

 3Dイメージビデオに人気が集まるなか、コンテンツ制作の関係者と話していると「3Dの普及に欠かせないだろう」と必ずといっていいほど話題にのぼるのが、アダルトコンテンツだ。

 実際、過去を振り返ってみると、VHSビデオやCD-ROM、DVDなどの普及の影には、アダルトコンテンツの存在があった。

 ただ一方で「3Dの場合、モザイクの処理がネックなのでは?」という声も多く聞かれた。2Dでは画面上にモザイクをかければよかったが、3Dでは対象物が画面よりも奥(もしくは手前)にあるため、そう単純な話ではない。対象物より手前にモザイクを入れると、モザイクが浮いたようになり、不自然だし、逆に対象物の奥に入れれば、それはモザイクの意味を成さなくなる。

 これはモザイクに限った話ではなく、映画の字幕なども同様。位置決めに相当手間がかかるという。

 アダルトコンテンツの制作で知られるSODクリエイトは、1月に3Dのグラビアイメージビデオ『3D×衝撃 触れてみて…滝沢乃南』を発売し、10月7日にも第2弾『華彩なな』を発売予定だが、アダルトコンテンツは皆無。やはりモザイク問題が壁になっているのだろうか。

『3D×衝撃 触れてみて… 華彩なな』(SODクリエイト)。3990円。10月7日発売予定(画像クリックで拡大)

 SODクリエイトによれば「モザイク処理に手間がかかるのは確かだが、技術的にはクリアしている」とのこと。実際、サンプル動画まで完成しており、見たところ不自然さは感じられなかった。

 「アダルトコンテンツも要望があれば発売したい」(SODクリエイト)というが、グラビアイメージビデオのリリースが先行しているのにはいくつか理由があるという。

 1つ目は、イメージビデオのほうが、年齢制限のあるアダルトソフトよりも、3Dコンテンツの普及の裾野が広がると考えているからだ。

 2つ目は、そもそもBDのアダルトコンテンツが多くないということだ。画質を考えるとブルーレイ3Dが望ましいが、再生機の普及はこれから。主に3Dテレビ放送で用いられるサイドバイサイド方式なら通常のBDでも再生できるが、DVDと比べるとディスクの製作費用がかさみ、必ずしも市場価格が高いとはいえないアダルトコンテンツには適さないという。

 ちなみにSODの3Dイメージビデオは、いずれも通常のDVDにサイドバイサイド方式で収録されている。容量の少ないDVDに左右2つの映像を記録しているので、当然のことながら画質はいまいち。ハイビジョン画像に見慣れた目からすると、鑑賞はやや厳しい印象だった。

 画質や販売量のことを考えると、最も適しているのはネット配信ではないかとSODクリエイトは話す。

 ところが、ここにも問題がある。ネット配信の場合、コピープロテクトなど著作権保護が欠かせないが、そのシステムがまだ確立していないのだ。

 「著作権保護システムが完成するのは、来年になりそう」(SODクリエイト)。それまで、配信は難しいという。今秋を目処に短いサンプル動画は公開する予定だが、しばらく“本命”は登場しそうにない。

 日経トレンディ10月号では3Dコンテンツに加えて、テレビ、カメラ、ゲーム機など、あらゆる分野に広がる3D映像機器の最新動向を紹介。それ以外にもタブレット端末、ネット対応テレビなど、AV機器の今後のトレンドを読み解いている。

(文/佐藤嘉彦=日経トレンディ)

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