「280円」という価格ありきだった

 注目は価格だ。並盛で280円と、同社の牛丼(並盛、380円)に比べて100円も安い。「時代のニーズに応えた価格設定」(安部社長)だという。

 商品発表会で安部社長がことさら強調していたのが、「来店客数」と「売り上げ」だ。同社は外食を控える傾向の強まりに加え、牛丼各社の値下げによる顧客争奪戦で客数を落とした。そこで、「客数、売り上げ向上に対する効率性や即効性を見据え、まず商品開発の目標設定に『280円』を掲げた」という。

 しかし、なぜ「280円」なのか。

 ライバルであるすき家の牛丼(並盛)が280円、松屋の牛めし(並盛)が320円なので、それらに対抗する価格設定ともいえる。「牛丼=200円台」というイメージが浸透しているなか、同社は「牛丼の値下げは客数が増えても利益が出ないからしない」(安部社長)という。ただ、そうなると“200円台牛丼”を求める消費者は、吉野家から離れてしまう。そこで牛丼とは別に、利益を取れる200円台の商品を用意することで、そのカテゴリーにも踏みとどまりたいということだろう。

 10月7日には、同じく280円で「牛キムチクッパ」も発売する。これら“280円商品”プロジェクトは、「客数、売り上げ向上のための第1段階の緊急策」(安部社長)。吉野家ホールディングス・安部社長が吉野家社長を兼務して現場の陣頭指揮を執り始めた4月からスタートし、テスト販売を経て約5カ月で商品化となった。

 果たして、その「牛鍋丼」はどのようなものなのだろうか。

「来店客数」と「売り上げ」の向上を強調する安部社長(画像クリックで拡大)