※この記事は日経エンタテインメント!(8月号)の記事を転載したものです。購入はこちら

 AKB48のデフスター所属時代のミュージックビデオ集が『逃した魚たち』というタイトルで発売される。立ち上げ期の苦労を当時の担当者に語ってもらった。

『逃した魚たち~シングル・ビデオコレクション~完全生産限定盤』、数々の映像特典も収録。完全生産限定盤はメイキングや振り付け映像なども。(7月14日発売/デフスター/6800円)(画像クリックで拡大)

 現在のAKB48の快進撃は、キングレコードに移籍直後にリリースした08年のシングル『大声ダイヤモンド』のヒットから始まった。一方、06年のメジャーデビューからその前まで所属していたのがデフスターレコーズ。今回、デフスター時代のビデオクリップを集め『逃した魚たち』というタイトルでリリースする。平井堅やケミストリーらが所属し、アイドルとは無縁だったデフスターでAKB48を立ち上げた、当時の担当者にアーリーイヤーズの苦労を聞いた。

――AKB48がデフスターからデビューしたきっかけは?

元媒体宣伝担当・浦塚雅宣:06年の6月くらいに、当時の上司に秋葉原で面白い劇場があるからライブを見に行かないかと言われて。秋葉原はそれまでは行く機会がなかったですし、全然期待もせずに見に行きました。それなのに、ライブが始まったら度肝を抜かれて。特に、フォーメーションと曲が、すごいなって印象でした。彼女たちがとにかく一生懸命で、これにかけている表情がよかった。反面、どこか、したたかさのようなものも感じられて、カルチャーショックを受けたんです。

元A&Rディレクター・伊藤秀記:秋元康さんにお会いしたときには、AKB48はアイドルになるためのシステムではなくて、彼女たちが将来自分のやりたいことをなし得るためのシステム、あくまでも通過点であると話されたのが印象的でした。未完成な状態だったけど、プロジェクトとしてすごく大きいものになりそうな予感はあって、ディレクターとしてはやりがいというか、価値をそこに強く感じましたね。

浦塚:ただ、アイドルをヒットさせるノウハウが全くないデフスターで、果たしてどうかなというのもありましたよね。

元A&R・佐々木美佐子:大人数なので、最初は都内を効率的に移動するコツや、新幹線の席を固めて手配する方法まで、すべてが手探りで。