インターネット動画の世界で大きな話題を呼んでいるのが、ライブ動画配信サービスの「Ustream」(ユーストリーム)だ。Twitterとの連動によるユーザー参加型の配信スタイルが注目され、配信者と視聴者が急増している。ソフトバンクが出資するユーストリームアジアの社長に就任する中川具隆氏に、Ustreamの今後について聞いた。

Ustreamの魅力は、プロとアマの共存にある

 Ustreamがインターネットのライブ動画配信サービスとして急成長している。小惑星探査機「はやぶさ」の帰還、民主党の代表選挙、事業仕分け、選抜高校野球などをノーカット・完全生中継で配信し、視聴者数が10万人を超える番組も出てきた。誰でも無料で配信・視聴できることに加え、Twitterとの連動が注目され、利用者が爆発的に増えている。

 米国で始まったこのサービスにいち早く目を付け、米ユーストリーム社に出資したのがソフトバンクだ。ユーストリーム本社は米国にあるが、ソフトバンクはユーストリームとの合弁会社「ユーストリームアジア」(Ustream Asia)を設立し、日本やアジア各地におけるUstreamの普及・利用促進を図っている。ユーストリームアジアの社長に就任するのは、ソフトバンクの完全子会社であるTVバンクの社長・中川具隆氏だ。

 2005年にヤフーとソフトバンクの共同事業としてスタートしたTVバンクは、「Yahoo!動画」を筆頭にグループの動画コンテンツを担ってきた。現在は、モバイルインターネットでの動画配信を中心に、プロ野球パ・リーグの完全中継のほか、ケータイ系の動画なども配信している。

「個人ユーザーが作る番組とプロが作る番組が違和感なく共存できるのがUstreamの魅力」と語る中川氏(画像クリックで拡大)

――TVバンクがユーストリームアジアに出資した理由は?

中川 最初は(Ustreamのことを)競合サービスだと思ったんです。しかし、2009年後半に出資の話をいただいて詳しく知っていくうちに、配信技術やシステム、将来性のいずれも面白いなと感じました。これなら、個人ユーザー配信型のコンテンツができそうだということで、孫社長が2009年末に出資を決断した次第です。

――個人が手軽に配信できる点が判断材料になったのですか?

中川 実は、孫社長の頭の中には、個人ユーザーによる配信サービスを提供したいという思いが古くからあったんです。『YouTube』が始まる前から、社内でも議論されていました。ただ、プロのコンテンツと個人ユーザーのコンテンツを混在させると、著作権の問題が起きるんですね。しかし、Ustreamは両者が1つのサービスの中で違和感なく共存している。そこに着目したんです。

――Ustreamは配信も視聴も無料ですが、どこで収益を上げるのですか?

中川 大きく分けて3つあります。まず1つは広告です。バナー広告だけでなく、特定のチャンネル枠だけを売ることも可能です。現在の広告は『Google AdSense』が中心ですが、複数のアドネットワークを使える仕組みになっています。これは地域制御も可能なので、国内のチャンネルの広告は日本側で出すようにしていきます。2つ目は、広告非表示のオプションですね。自分のチャンネルでは広告を出したくないというお客様は、対価を払っていただくことにより、広告抜きの配信ができます。3つ目は有料配信です。アメリカではすでにスタートしていますが、コンサート、コメディーといった番組を有料配信していきます。冒頭は無料で、その後は有料というスタイルを持つチャンネルもあります。

今回のインタビューは渋谷のUstreamスタジオで実施し、Ustreamで配信した(左から筆者の三上、中川具隆氏、ナビゲーターのあやの氏)(画像クリックで拡大)