デモテープの歌詞はTwitterで公募

 中西氏のメロディーラインに、向谷氏がキーボードやドラムなどのパートを加えてデモテープを作っていく。この時、向谷氏は隠し玉を用意していた。ギタリストの斉藤英夫氏に、インターネット経由での参加を呼びかけたのだ。YAMAHAが開発中のソフトウエア「NETDUETTO」を利用して、現場の向谷氏・中西氏と斉藤氏がセッションを繰り広げる。ネットを経由するためにタイムラグが発生するが、トラックごとに録音のタイミングをずらすことで対応していた。こうして15時過ぎには、1曲目のデモテープが完成した。スタートから2時間と少しのできごとだ。途中の機材トラブルなどを除けば、1時間程度ででき上がった計算になる。

スタジオでの作曲セッション風景。Twitterの書き込みを見ながらデモテープを作っていく(画像クリックで拡大)

 完成したデモテープは、歌詞を募集するためにすぐMP3ファイルとして無料配布された。視聴者に歌詞を投稿してもらうためだ。有名アーティストが作った曲に歌詞を付けられるアマチュアがいるのか? 筆者には無謀な試みに思えた。

 だが、野心的な現場には、音楽の神様が何度でも降臨する。数時間後に届いた30以上の作品の中に、輝く宝石が見つかったのだ。熊倉和昭氏(くまちょん)が投稿した歌詞に中西氏が目を付け、向谷氏も賛成して一気に決まってしまった。タイトルは「Twilight Stream」。Ustreamを象徴するストリームをテーマにした歌詞は、深い思いが込められた素晴らしいものだった。

 面白いのは、歌詞の修正もTwitterが使われたことだ。くまちょん氏による歌詞の一部に「色あせず」というフレーズがあったのだが、どうしてもメロディーに合わない。どうしたらいいだろうかと向谷氏と中西氏が悩むなか、Twitterに「『鮮やかに』ではどう?」という書き込みがあり、その場で採用された。

 向谷氏はUstreamの中で、常々「タイムラインは宝の山」と語っている。「Twitterのコメントを取り入れることが重要であり、書き込んでくれる人と一緒に放送を作っていくのがベスト」という意味だろう。歌詞の修正をUstreamとTwitterの画面でやったことは、象徴的なできごとといえる。