配信のスタートは“打ち合わせ”から

 このプロジェクトのきっかけは、向谷氏によるiPadのパフォーマンスだった。向谷氏はiPadを使って作曲をしたり、演奏したりする様子をUstreamで配信し始めたのだ。iPadを自由自在に使いこなす向谷氏の姿は、彼が今年2月から始めたTwitterを通じて大人気となり、「向谷倶楽部」が発足したことでファンが急拡大した。

 そこに登場したのが中西氏だった。「Choo Choo TRAIN」の作曲なども手がけた彼が、向谷氏のUstreamにTwitterで参加。向谷氏が「中西さん、ぜひ一緒に曲を作りましょう」と声をかけ、その場で二人のセッションが決まってしまった。中西氏は「Ustreamで向谷さんがiPadのピアノアプリを弾きまくっているのを見て、必死にTwitterで『見てますよ!』と打ち込みました。それに対して、向谷さんだけでなく他の方からも反応が返ってくるライヴ感に興奮しましたね」と語っている。

 4月27日、最初の作曲セッションが東京都世田谷区にある向谷氏の事務所で始まった。向谷氏と中西氏は以前から親交があったものの、それまで一緒に作曲したことはない。向谷氏が「打ち合わせは、まるでゼロでした。携帯電話で集合時間を伝えただけで始めたんです」と語るとおり、昼の12時45分から「打ち合わせ中継」が始まった。

「さて、どうやりますか」「このまま作曲をダダ漏れさせちゃって、本当に大丈夫なんですかね(笑)」と言いながら配信がスタート(画像クリックで拡大)

 そして13時10分過ぎ、スタジオに音楽の神様が舞い降りた。中西氏がスキャットを口ずさんだ瞬間、向谷氏が「それ、いい!」と叫び、ものの数分で1曲目のメロディーの骨格が決まってしまったのだ。中西氏のメロディーラインを向谷氏がブラッシュアップしていくと、すぐに曲の全体像が見えてきた。プロフェッショナルというのはすごいものだ。一瞬のひらめきと感動をその場で形にしていく姿は、見ているだけでゾクゾクする。

 Twitterのタイムライン(書き込み)は「すごすぎ!」「感動!」「歴史的瞬間だ」という叫び声で埋まった。この一部始終はUstreamで公開されているので、冒頭の部分をぜひ見てほしい。