2月4日発売の日経トレンディ3月号では、日本でもいよいよブレイクが近づく電子書籍ビジネスの全貌について詳細なリポートを掲載している。この業界で今、最も注目を浴びているのが、アマゾンの「kindle」とアップルの「iPad」という2つの“電子書籍端末”だ。

 3月下旬から日本でも発売される「iPad」は、電子書籍市場の業界地図を塗り替える可能性を秘めた端末でもある。電子書籍リーダーアプリの「iBooks」や配信ストアの「iBookstore」などの電子書籍機能やサービスはiPadの大きな目玉(詳細はiPad特設ページ)。米国を中心に数百万台規模のヒットとなっているアマゾンの電子書籍リーダー「Kindle(キンドル)」の対抗馬としても注目を集めている。

 Kindleは日本への本格上陸も期待されている。今後は両者のユーザー獲得競争が世界的に激化しそうだが、KindledとiPadは製品コンセトや持ち味がまったく違う。白黒画面のKindleは小説やノンフィクションなど書籍の文章が読みやすい。一方のiPadは、iPhoneの7倍以上の大きさのカラー画面があり、マンガや雑誌の表現に向いたデバイスだ。電子書籍市場の大半をマンガが占める日本では特に、マンガ配信との親和性が電子書籍端末普及のカギを握る。世界的には先行するKindleだが、日本ではiPadのほうが優位になるかもしれない。

アップルの電子書籍配信ストア「iBookstore」。ソニーやグーグルも採用しているEPUBフォーマットで配信する。独自フォーマットで配信するアマゾンとは異なる(画像クリックで拡大)

iPadアプリの「iBooks」を使って本を読む。文章の書体を変えて読むこともできる(画像クリックで拡大)

 今はアップルやアマゾンばかりが話題だが、電子書籍端末の先駆者は日本メーカーだ。日本では、04年ごろにソニー「LIBRIe(リブリエ)」やパナソニック「ΣBook(シグマブック)」などの電子書籍リーダーが発売されたが、この事業は失敗に終わった。アマゾンがKindleを発売したのは07年なので、日本よりもかなり遅い。

 アマゾンは、先行していたソニーLIBRIeの影響を受けてKindleを作ったといわれている。例えば、Kindleの画面サイズは6型で、日本の文庫本で文章が書かれているスペースとほぼ同じサイズだ。どうやら、LIBRIeが採用していた画面サイズに影響を受けたものらしい。電子書籍端末の専門家からは 「今でも電子ペーパーの性能やページめくりの速度といった面では、KindleとLIBRIeとの違いはさほどない」という声が上がる。

 ただしKindleは、LIBRIeと大きく異なる点がある。3G通信を内蔵しており、時と場所を選ばずに、キンドルから本や新聞、雑誌を直接購入、ダウンロードできるのだ。記者は、日本で利用できる国際版Kindleを買って電子書籍を読んでいるが、使い勝手はかなり良好。端末のボタンを数回クリックするだけで本が購入できる。ダウンロードも10秒以内に終わり、すぐに読み始められる。そのスムーズさには驚く。

 現在、Kindle向けには、41万冊以上の電子書籍が配信されている(日本でも約35万冊が利用できる)。新聞や雑誌を定期購読すると、最新号は自動的にキンドルに配信される。バックナンバーは端末内に自動保存され、キーワード検索で目当ての記事を探し出せる。これなら、たまった新聞を資源ゴミに出す苦労や、雑誌記事をスクラップ保存する手間が省ける。こうした使い勝手の良さやコンテンツ数の多さが、米国でKindleがヒットした理由だ。