「0.5%」より「ゼロ」のほうがおいしい
味の傾向は、自社のビールと同じ

 「クルマを運転するから」「飲んだ後に用事があるから」といった理由で、主に支持を集めているノンアルコール・ビールテイスト飲料。ビールの代替として手を伸ばすケースが多いのは間違いない。ビールと同じ味わいを、各メーカーの商品に期待していいのか。

 商品の完成度や、各社の違いを明らかにするため、飲み比べを実施。ビール評論家の田村功氏と日本地ビール協会の小田良司会長に、メーカー名を伏せたブラインドで評価を依頼した。

 すべて飲み終えた両氏がまず口にしたのは、各社の開発技術の進歩だ。どのメーカーの商品も、ビールらしい味わいの一端を楽しめるという。「嫌な甘みが残るなど、総じて後味が良くなかった」(田村氏)という0.5%の低アルコール版時代より、ワンランク上だ。

 ただ、手放しの高評価というわけではない。「現時点の技術では、ビールと肩を並べられるレベルに持っていくのは難しい」(メーカーの技術者)と造り手自らが認める通り、ビールに見劣りする点は多い。決定的な差は味わいの濃淡による満足感だ。ノンアルコール・ビールテイスト飲料はフルーティだが味わいは薄く、ビールには及ばない。これはコクを強める性質を持つアルコールが含まれていないことも原因の一つと見られる。また、苦みや甘みなどのバランスは、今後の課題だろう。

 商品の味わいの特徴を探ると、面白い傾向があることがわかる。各メーカーのビール同士の違い以上に、今回取り上げた4つのノンアルコール・ビールテイスト飲料は個性がそれぞれ際立っていた。キーワードで端的に表現すると、キリン フリーはコク、「アサヒ ポイントゼロ」はすっきり感、「サントリー ファインゼロ」はフルーティ、「サッポロ スーパークリア」は“水感覚”となる。どんな味わいを求めるかで、その人にとってベストな“ノンアルコールビール”が決まる。

プロが各社の個性を判定
すっきり感なら、アサヒ

個性の違いを見極めた、田村氏(左)と小田氏(右)(画像クリックで拡大)

 ビール評論家の田村功氏と日本地ビール協会の小田良司会長が飲み比べた。両氏ともに、どれも一定水準をクリアしており、ビールよりも個性の違いが際立つという評価。例えば、アサヒはすっきり感が際立つ。ちなみに、総じて味わいは薄いため、満足感ではビールに勝ちを譲る点は押さえておきたい。ただし、おとなしい苦みは、飲みやすいと思う人もいるだろう。


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アサヒ ポイントゼロ

最大の持ち味は、すっきり感

 ほか3つとは違って際立った特徴が見当たらず、すっきりと飲めるタイプに属する。苦みと甘みは強くも弱くもなく、全体のバランスが総じていい。かすかにフルーティで、渋みが口に若干残る。サントリーとは対照的で、麦芽の香りは控えめだ。
原材料/スターチ麦芽、果糖ぶどう糖液糖、ホップ、香料、酸味料、アミノ酸(グリシン)

77kcal

 

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キリン フリー

コクを求める人に向く一本

 水あめに似た香りと、後味として甘みが残るのが特徴でコクが感じられる。アサヒ同様、全体のバランスが良く、苦みは弱め。なお、ぬるくなるとビール工場で麦汁を煮込んでいるときのようなにおいに変わる。発酵させていないというのもうなずける。
原材料/麦芽、食物繊維、果糖ぶどう糖液糖、ホップ、酸味料、香料、調味料(アミノ酸)、酸化防止剤(ビタミンC)、苦味料

56kcal

 

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サントリー ファインゼロ

苦み控えめ、フルーティな味

 フルーティな味わいだ。麦芽の甘みが強く感じられる。苦みは控えめなので、あえて例えればトロピカルジュースのような感じといえる。ほかと比べると、麦芽やホップの香りが濃厚に漂う。麦芽をかんだかのような穀物臭も、個性の一つだろう。
原材料/麦芽、糖類(糖化スターチ)、ホップ、酸味料、酸化防止剤(ビタミンC)、香料、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)

56kcal

 

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サッポロ スーパークリア

ほかと一線を画す“水感覚”

 一番味わいがフラットだ。ホップの香りや苦みがかなり薄く、麦芽の香りや甘みは強くもなく、弱くもない。“水感覚”で楽しむものだろう。メーカーは、「カジュアルに楽しめる味わいに設計した」(サッポロ)と説明する。酸化臭が、やや気になった。
原材料/水溶性食物繊維、糖類(水あめ、果糖ぶどう糖液糖)、麦芽エキス、香料、カラメル色素、酸味料、酸化防止剤(ビタミンC)

21kcal