2005年に発売され、年間100億円市場にまで膨張した医療用医薬品の「プロペシア」。「薄毛の悩みは医者に相談」という万有製薬によるAGA(男性型脱毛症)のテレビCMの影響で、病院へ行くというマインドが徐々に定着。保険が適用されない自由診療にもかかわらず、プロペシアの売り上げも右肩上がりで伸びているという。

 今年4月に発表された日本皮膚科学会総会の「脱毛症ガイドライン」を見ると、「強く推奨する」というA群に、フィナステリド(プロペシアの成分名)とミノキシジル5%の両方が分類された。そのほかの成分は「使ってもよい」程度のため、医師が勧める治療法は、今後この2つに絞られることになりそうだ。

 ではミノキシジル5%とフィナステリドではどちらが効くのか。これらを客観的に比較したデータが1例ある。トルコの臨床試験では、「どちらもよく効く」とはしながらも、フィナステリドのほうがより効果が高かった、という結果が出ている。

 両者のメカニズムを見てみると、理論的にもフィナステリドが優勢のようだ。ミノキシジルは成長促進因子の分泌を促したり、血流改善作用があるといわれるが、まだ全貌は解明されていない。対して、フィナステリドは男性ホルモンの一種「DHT」の産生を間接的に阻害することで、効果を発揮することが明らかにされている。「原因となる男性ホルモンに直接働きかけるぶん、フィナステリドのほうが効く印象はある」(佐藤院長)。

 一方で、ミノキシジル5%のほうが優れているという意見もある。前述のリアップX5の臨床試験を担当し、万有製薬によるAGAのホームページの監修も行った東京医科大学皮膚科学講座・坪井良治教授は「男性ホルモンに支配されている毛包以外の頭髪にも効果を発揮し、毛髪を増やす力もフィナステリドよりも強いと思う」と話す。

 深刻な人は、両方使うという手もある。フィナステリドやミノキシジルを独自に処方している脇坂ナカツクリニックの脇坂長興院長は、「ミノキシジルは発毛、フィナステリドは育毛、とメカニズムが異なるため両方が必要」と力説する。ミノキシジル5%が身近になったことで、今後は一般的な病院でもプロペシアの処方に加えて、リアップX5の併用を勧める医師も増えてくるだろう。

頂上決戦! リアップX5とプロペシアはどちらが効果が高い?

第1類を扱える店舗は減少したが、気軽に買えるのは魅力だ(画像クリックで拡大)

 今年4月に福岡市で行われた日本皮膚科学会総会のなかで、「脱毛症ガイドライン」が発表され、ミノキシジルの外用(男性は5%)とフィナステリドの内服(男性のみ)の2つだけが、医師が強く推奨する治療法として示された。医療用医薬品であるプロペシアと同等レベルで、リアップX5の効果が認められたということになる。

●リアップX5、プロペシアだけに“お墨付き”

治療の推奨度 治療内容
A群(行うよう強く推奨する) ミノキシジル外用(男性5%、女性1%)
フィナステリド内服(男性)
「プロペシア」に加えて、「リアップX5」もA群の「強く推奨する」に
B群(行うよう推奨する) 自毛植毛術
C1群(十分な根拠はないが、使ってもよい) 塩化カルプロニウム外用
医薬部外品・化粧品の外用育毛剤
「カロヤン」や「サクセス」「アデノゲン」などは同一のカテゴリーに
D群(行わないよう推奨する) フィナステリド内服(女性)
人工毛植毛術

注)日本皮膚科学会総会における「脱毛症ガイドライン」の発表をもとに編集部で作成

●1日当たりの価格はほぼ互角

リアップX5
(大正製薬)
商品名
(メーカー名)
プロペシア
(万有製薬)
第1類医薬品 区分 医療用医薬品
ミノキシジル5g(100ml中) 有効成分 フィナステリド1mg、0.2mg
実勢価格7400円
(1日当たり約247円)*1
価格 1日250円程度(1錠)
(参考処方価格)*2
(1)成長促進因子である「VEGF」「IGF-1」の産生 (2)血流改善 メカニズム テストステロンをDHTに変換させる酵素「5α-リダクターゼ(タイプII)」の働きを阻害

注)*1 1本(60ml入り)で約1カ月分
*2 病院によって薬剤費は異なる。診療の場合、薬剤費のほかに診察料もかかる。プロペシア1カ月分込みの診療費は病院によって異なるが、1万円程度が目安になる

注)Tsuboi R, et al J Dermatol 2009 in pressをもとに編集部で作成

注)頭頂部写真評価。川島眞ほか:「臨床皮膚科」60巻6号、521-530、2006などをもとに編集部で作成

ミノキシジル5% vs フィナステリド 専門家はこう見る

東京医科大学皮膚科学講座 坪井良治教授

「どの箇所にも効く」「増やす力が大きい」という点で、ミノキシジル5%のほうが上。フィナステリドは、効果のある部位が決まっており、個人差も出やすい印象。ミノキシジルは1%だと弱いが、5%であれば、フィナステリドよりもよく効くと思う。ただし一番よく効くのは両者の併用。

大阪大学医学部皮膚・毛髪再生医学講座 乾 重樹准教授

結論から言うと、どちらもよく効く。ミノキシジル1%ならフィナステリドのほうが明らかに上だが、5%ならかなりの効果は期待できるだろう。しかし、海外の臨床試験の結果を見ると、ミノキシジル5%よりもフィナステリドのほうが、効果はやや上とされている。

東京メモリアルクリニック・平山 佐藤明男院長

メカニズムがはっきりしているし、原因となる男性ホルモン(DHT)を抑えるので、「どちらかを選ぶ」となればフィナステリドだろう。ミノキシジルはフィナステリドの弱点を補完するもの、という印象。ミノキシジルは波があるが、フィナステリドは効果にバラつきがない。

(文/佐藤 央明=日経トレンディ)

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