しかし、もう一つ不可欠な要素がある。新たな牽引役となる味の登場だ。

 現在ラーメン界を席巻するのは「とにかく濃厚な味」(新横浜ラーメン博物館の中野正博氏)。なかでも魚介豚骨スープだ。その象徴がつけめん店「六厘舎」。魚粉を大量に使ったつけ汁が売りの同店は、平日でも開店前から数十人が並ぶ有数の行列店だ。開業は05年だが、人気は衰えを知らない。

 濃厚系が受ける理由はそのインパクト。わざわざ遠くまで食べにいく以上、それに見合う特別な満足感が求められるからだ。愛好家同士がブログで食べた店を報告し合う動きも盛んで、「話のタネになる味」に人気が集中しやすい。コスプレなどのパフォーマンスも売りにする「覆麺」や、3000円の高級コースを提供する「藤巻激城」といった個性派店もある。

 結果、インパクトの強い濃厚系の店は増えた。しかし東京において、これはすでに3年以上の長期トレンド。「さすがに魚介豚骨に飽きた人も多い」(中野氏)状況で、新たな牽引役は期待しづらい。では、次の注目株は何か。

長らく君臨する「濃厚魚介豚骨」

 ラーメン界では「インパクトの強さ」が人気を左右。ここ数年、東京では濃度の高い魚介豚骨スープに人気が集中。人気店を模倣する傾向も強く、気づけばどちらを向いても濃厚魚介豚骨だらけ。愛好家の間では飽きも出ている。これに代わり得るトレンドの候補としては、濃厚系のなかでの細分化と、逆にほっとする日常の味への回帰が考えられる。

大崎のつけめん店「六厘舎」は、濃厚魚介豚骨系の代表的な行列店。つけ汁に添えられた魚粉はインパクト大(画像クリックで拡大)

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●「極太めん」がブランド化

濃厚スープに合わせて太いめんが主流に。六厘舎に極太めんを提供する製めん所「浅草開化楼」の名前は、数年前からそれ自体がブランド化