月刊誌ならリスクを減らせる

 各社が月刊誌にこだわるのには、理由がある。定価が安く、広告がほとんど入らないマンガ誌は、単体で黒字化することは非常に難しい。定価が250円ほどの週刊少年誌が、雑誌だけで採算を維持するには100万部の売上が必要だと言われる。それでも週刊誌が成り立つのは、コミックスで採算をとるからだ。雑誌では大赤字でも、コミックスのヒットで黒字化するのである。

 しかし、それでも週刊誌は厳しい時代になっている。昨年は、老舗の「週刊ヤングサンデー」(小学館)が休刊した。『Dr.コトー診療所』や『イキガミ』などのヒット作を出しながらも、雑誌を維持できないほど雑誌の売上は不振を極めていた。

 月刊誌が多く創刊されるのは、週刊誌ほどのリスクを避けるためだ。月刊誌であれば、雑誌による赤字を極力抑え、コミックスもある程度の頻度で発行できる。小学館の「IKKI」や「サンデーGX」も、発行部数はそれぞれ約1万5000部、約3万部だが、コミックスで黒字となっている。雑誌はもはや単行本のプロモーション媒体なのだ。

若い“編集現場”の発想に期待

 「ゲッサン」もこのようなビジネスモデルを踏まえて誕生する雑誌だ。小学館コミック編集局チーフプロデューサー・都築伸一郎氏は、その狙いについてこう説明する。

 「今年はちょうど『週刊少年サンデー』創刊50周年ですが、あのころはテレビが出始めて、人々の生活が週間単位で回る時代でした。しかし、いまはネットの時代。生活習慣が1日単位に変わっています。マンガ誌で日刊は無理ですが、その号で、満足感を味わってもらうことが可能です。したがって、連載作品は基本的に読み切り形式です」

あずまきよひこの代表作『よつばと!』。2006年には日本のメディア芸術100選に選出された。文化庁メディア芸術祭マンガ部門でも優秀賞を受賞している(画像クリックで拡大)

 月刊少年サンデーを企画した編集長代理の市原武法氏は、平成9年入社で現在35歳。現時点では代理だが、いずれは編集長となる予定で、小学館では最年少の編集長抜擢となる。

 「市原は、全盛期だった1980年代の『サンデー』が持っていた恋愛を含む、《日常世 界》が持つドラマ性に注目しています。現在の少年マンガは、バトルファンタジーに代表される《非日常世界》が中心ですが、ゲームに慣らされた少年たちにとっては、《日常世界》こそが、《非日常》であり、ドラマ性を感じられるのではないか…そう考えたわけです。一見、保守回帰に思われるかもしれませんが、こういう発想が若い世代から出てきたことに、新鮮さを感じるんです」(都築氏)

 ラインナップには、市原氏の思いがうかがえる。あだち充や島本和彦など、80年代の「週刊少年サンデー」を牽引してきたマンガ家をはじめ、小学館では初めての仕事となる『よつばと!』のあずまきよひこも名を連ねている。『よつばと!』は、「ちょっとかわった女の子『よつば』と、とーちゃんと、まわりの人たちとのなにげない日常を描いたマンガ」(公式サイトより)だ。単行本は8巻まで発行され、累計部数が550万部を超えるなど、男女や世代を問わず支持されている。月刊少年サンデーでは、2002年まで「月刊コミック電撃大王」で連載していた 学園コメディー『あずまんが大王』を復活させるようだ。