12月1日にスタートしたNHKの番組配信サービス「NHKオンデマンド」。開始から約3週間が過ぎた12月23日の時点でパソコンから登録したユーザー数は約1万4000人に到達し、登録ユーザーの約半数が番組を購入したという。「アクトビラ」などテレビ系サービスの登録ユーザー数が含まれていないとはいえ、「日本のテレビ局が初めて本格的に参入する動画配信サービス」とNHKが意気込む事業としては、現時点での数字は「厳しい船出」という印象は否めない。そんな中、NHKは12月25日から期間限定で人気の海外ドラマ『ER XIII 緊急救命室』の配信をスタート。コンテンツを強化して事業強化を目指す。

 今後ユーザー数をどこまで増やせるかにも注目したいが、既にNHKオンデマンドを利用しているユーザーから料金面などで不満の声も聞こえる。ここでは、ユーザーが気になる課金モデルの裏側などについて、NHKを直撃してみた。

新しいビジネスモデルゆえの不安も

 NHKオンデマンドは、NHKの5つのチャンネル(総合、教育、BSハイビジョン、BS1、BS2)が過去に放送した番組をインターネットで有料配信するサービス。『NHKスペシャル』や『クローズアップ現代』など、毎日10~15番組を放送翌日から1週間限定で配信する「見逃し番組」と、NHKアーカイブスにある約50万本の番組の中から厳選した名作を配信する「特選ライブラリー」の2種類がある。

特選ライブラリーでは過去の名作がズラリと並ぶ。画像は1988年放送の大河ドラマ『武田信玄』(画像クリックで拡大)

 視聴方法も2種類。パソコンから視聴する「PC系サービス」に加えて、テレビから視聴する「TV系サービス」も提供する。ただし、「TV系サービス」を利用するには、「アクトビラ」対応テレビを用意するか、「ひかりTV」サービスなどに加入する必要がある。

 料金は1番組当たり105~315円。「見逃し番組」には月額1470円の「見放題パック」も設けられ、毎月定額料金で見逃し番組と、『ニュース7』などのニュース番組が見放題となる。なお、ニュース番組は単体で購入できず、視聴するには見放題パックを購入する必要がある。

 NHKは3年目での単年黒字化を見込んでいるが、おおまかな試算では見放題パックを40万人が購入すれば達成できるという。しかし、これらはあくまで机上の計算。スタート後3週間で獲得した1万4000人の“お客さま”が今後も増え続けるかどうかは、「正直まったく見当がつかない」とNHKオンデマンド室の小原正光部長はいう。「なにしろ放送番組の有料オンデマンドサービス自体が初めてのことなので、参考にするビジネスモデルがありません」(小原氏)とも。

 さらに放送した番組しか扱えないという法規制により、NHKオンデマンドのオリジナルコンテンツを制作・配信できない足かせもある。“オンデマンドならでは”という企画や話題性を作りづらいのだ。

クオリティと選択肢の多さに自信

 NHKオンデマンドが最も売りにするのは圧倒的な高画質だ。TV系サービスはすべてハイビジョンに対応し、PC系サービスでもDVD並みのクオリティという高画質は大きな魅力。事実、パソコンから1.5Mbpsのストリーミングで見る映像は、これまでのPC向け動画配信サービスのどれより美しい。

 また「ユーザー自身が番組を選んで視聴する」というオンデマンドサービスならではのメリットも結果にはっきり表れたという。

「視聴率でいえば1%を下回ると思われるBSの番組などが、いくつも視聴ランキングに名を連ねています。普段は視聴しづらい時間帯の番組でも好きなときに見られるという、オンデマンドの特徴が見事に出ている結果ではないでしょうか」(小原氏)

 プライムタイムには総合や教育などの地上波を視聴する人が圧倒的に多いが、同時間帯のBSにもいい番組はたくさんある。その中から厳選し、ドキュメンタリー、バラエティー、ドラマ、教養、教育、報道とあらゆるジャンルを取りそろえたラインナップは、とても民放には真似ができないと胸を張る。