東宝の勢いが止まらない。2008年12月12日に東宝は、1月から11月までに配給した映画の興行収入が700億円を突破したことを発表した。08年は9月末時点で、過去最高だった07年の興収595億円を超える600億円を達成。その数字をどこまで伸ばすかに注目が集まっていたが、その後も順調に推移。12月までの数字を加えた年間最終興収は750億円前後が見込まれている。

 この数字が、どれほどインパクトがあるかについて簡単に説明しておこう。日本で上映される全映画の年間興収は、昨年が約1984億円、一昨年が約2003億円と、例年2000億円前後。今年もこれに近い数字だと仮定すると、単純計算で40%弱を東宝が占めることになる。仮に、この半分に当たる1000億円が邦画の年間興収だとすれば、邦画マーケットにおける東宝のシェアは約75%と、まさに独り勝ち状態だ。

 10月末時点での他社との数字を見比べると、違いはより顕著になるだろう。東宝が約661億円だったときに、2位のワーナーが約145億円、3位の松竹が約144億円、4位の東映が約100億円といった具合なのだ。

邦画ベスト10中、8作品が東宝!

 今年、もっともヒットした邦画が、興収154億円の『崖の上のポニョ』。2位が『花より男子ファイナル』の77.5億円で、3位が『容疑者Xの献身』の50億円だ。この3作品はいずれも東宝の配給作品で、以下、10位までを見ても実にベスト10中、8作品を東宝が占めている。

 その8作品の内訳は、3作品(『ポニョ』『劇場版ポケットモンスター』『映画ドラえもん』)がアニメ映画で、残りの実写5作品(『花より男子ファイナル』『容疑者Xの献身』『ザ・マジックアワー』『20世紀少年 第1章』『マリと子犬の物語』)はすべて、テレビ局絡みの映画であることが分かる。東宝の強さの秘密は、このアニメ映画とテレビ局が制作・出資した映画にあったのだ。

 なかでも特筆すべきがテレビ局映画。テレビ局は、放送免許を有する放送局である一方で、映画界から見れば、興行網をもつ東宝、松竹、東映といった会社に、自社制作の映画をかけてもらう制作会社の一つに過ぎない。とはいえ、単なる制作会社とはわけが違う。視聴率1%が100万人の視聴にあたるという巨大なメディア力を持ち、毎年、興収成績上位に何作品も送り込む、日本最強の制作会社なのだ。

 そのテレビ局が映画を作る際に、真っ先に組みたいと思うのが東宝だ。単に宣伝力があるだけではない。劇場(スクリーン)数も多く、その立地条件も、松竹や東映に比べて優位にある東宝は、その分、より多くの観客動員が期待できる相手。テレビ局でなくとも、大ヒットを狙いたいなら、まずは東宝と考えるのが王道だろう。その思いはアニメ映画の原作権を持つ出版社とて変わらない。ヒットすれば10年、20年と続くドル箱シリーズとなるだけに、パートナー選びに余念がない。