2008年12月12日から始まる「嘉納治五郎杯東京国際柔道大会2008ワールドグランプリ」(12月14日まで、東京体育館)。北京五輪男子66kg級金メダルの内柴正人、女子52kg級銅メダルの中村美里らが出場することで注目が集まっているが、今大会は“柔道新時代”を占う意味でも重要だ。2009年1月1日からの施行が決まっている新ルールで競技が進められるからだ。同じ1月1日からは五輪出場権にもかかわる、GPシリーズとランキング制も導入される。2009年は柔道界にとって大きなターニングポイントとなる。

 新ルールの最大の目玉は「効果」の廃止だ。これまで技の基準は、「一本」「技あり」「有効」「効果」の4つだった。これからは「効果」が除外されて3つとなる。消極的な姿勢を続けた場合に与えられていた「指導」の規定も変更され、1回目の指導は勝敗を左右する得点とはしない。2回目の指導で「有効」ポイントが相手に与えられる。

 今回の改正では、北京五輪でも見られた技の掛け逃げや組み手を嫌う行為に対する「指導」の厳格化や延長戦を従来の5分から3分に短縮することなども盛り込まれている。

 これら一連の改正は10月にタイのバンコクで開催された国際柔道連盟(IJF)審判委員会で協議され、10月23日からの世界ジュニア選手権大会でテスト導入された。国内でも「平成20年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会」(11月15、16日)ですでに導入実施されている。

 「GPシリーズ」と「ランキング制」も09年1月1日から導入される。選手たちは「マスターズ」「グランドスラム」「グランプリ」「ワールドカップ」の4つに格付けられた約20の国際大会を戦いながら、戦績に応じて与えられるポイントを積み上げて五輪出場権の獲得を目指すことになった。従来は国・地域ごとに与えられていた五輪出場権を選手個人に与えるということ。有力選手の主要大会への出場頻度を上げ、年間を通じて世界の柔道界を活性化させようとするものだ。

2009年、主な試合の日程

期間 開催地
世界選手権 8月26-30日 オランダ
マスターズ 12月 韓国
グランドスラム 2月7-8日 フランス
5月 ロシア
7月4-5日 ブラジル
12月11-13日 日本
グランプリ 2月20-22日 ドイツ
5月9-10日 チュニジア
6月 アメリカ合衆国
11月7-8日 中国
12月2-3日 アラブ首長国連邦
ワールドカップ 1月24-25日 男子:グルジア 女子:ブルガリア
2月14-15日 男子:ハンガリー 女子:オーストリア
2月28日-3月1日 男子:ポーランド 女子:チョコ
6月6-7日 男子:ルーマニア 女子:スペイン
6月13-14日 男子:イタリア 女子:フィンランド
7月 ブラジル
9月19-20日 男子:イギリス 女子:エストニア
10月10-11日 男子:アゼルバイジャン 女子:ベラルーシ
10月31日-11月1日 モンゴル
11月14-15日 ニュージーランド

※国際柔道連盟発表、11月25日時点

マスターズ
年1回12月に韓国ソウルで開催。ランキング上位者のみに出場資格が与えられ「年間王者決定戦」になるとみられる

グランドスラム
従来のフランス国際、ロシア国際、嘉納杯東京国際に新設のブラジル開催大会を加え、年4回開催。テニスの4大大会をモデルにしている

グランプリ
グランドスラムに次ぐ大会として、従来のドイツ国際などをベースに年5回開催

ワールドカップ
従来のチェコ国際、オーストリア国際などをベースに2009年は10大会を開催。うち、7大会が男女別国開催で実施される

 世界選手権などの大会で獲得したポイントは4年間有効となる。ある時点から振り返って12カ月以内に獲得したポイントは100%、13~24カ月以内は75%、25~36カ月以内は50%、37~48カ月以内は25%として計算され、それぞれの期間における獲得ポイント上位5大会の合計、つまり4年間20大会の結果でランキングが決定される。09年は1月1日より全選手が0ポイントからスタートする。

 ポイントの積み重ねが五輪出場権を大きく左右することになる。ランキングに基づき、各階級で男子が上位22名、女子が同14位までに与えられる。ただこのままでは日本やフランス、ロシアといった強豪国から複数の選手が出場権を獲得する可能性もある。その場合は各国の柔道連盟がそれぞれのやり方で五輪出場者を決める。ランキングに届く選手がいない国や地域に対しては五つの大陸ごとに別途出場枠があり、従来通りの「出場1カ国1代表」を保つ仕組みとなっている。