電通社内で所属局を越えた異例のコラボレーション

電通テレビ局企画推進部プロジェクト・マネージャー、東山敦氏(画像クリックで拡大)

電通第5クリエーティブディレクション局のCMプランナー(当時)、阿部光史氏。現在は電通も出資する外資系広告代理店、ビーコン コミュニケーションズでエグゼクティブ クリエイティブ ディレクターを務める(画像クリックで拡大)

 オリジナルのキャラクターを開発してビジネスを展開してみようと思いついたとき、担当者のテレビ局企画推進部プロジェクト・マネージャー、東山敦氏はふと思った。「クリエーターは社内にたくさんいるじゃないか」。そこで声をかけたのは、電通第5クリエーティブディレクション局のCMプランナー(当時)、阿部光史氏だ。

 東山氏と阿部氏は同期入社で、入社時の研修で同じチームだったものの、その後は所属局が違うため仕事では全く関わりがなかったという。アイフルの「くぅ~ちゃん」のCMを手がけるなど、活躍する阿部氏に直接協力を依頼したのだが、これは電通社内でも異例のことだったという。巨大企業のため、これまでそういった試みは行われてこなかった。携帯ですぐに連絡を取り、「約20年ぶりに一緒に仕事をしないか?」と誘った。

 この誘いを受け、阿部氏はすぐに第5クリエーティブ局内でコンペを実施。1カ月弱で10組、40案ほどの作品が集まった。そこから選ばれたのが、この「豆しば」だ。

 そしてもう一つ、豆しばの誕生に欠かせなかったのは、インターネットとテレビの連携を進めるために、電通やテレビ局各社が出資して設立した「プレゼントキャスト」という会社の存在があった。プレゼントキャストのコーポレート本部長兼経営戦略部長である山下高明氏も、早い段階からこの話に乗った。

プレゼントキャスト コーポレート本部長兼経営戦略部長、山下高明氏(画像クリックで拡大)

 プレゼントキャストは、テレビ番組情報誌のネット版を想定した動画配信サイト「ドガッチ」(現在の名称はテレビドガッチ)のサービスを、2006年12月に本格的に立ち上げている。ドガッチの認知度を高めてアクセスを増やすような、魅力的なコンテンツが欲しいと考えていたところに、ちょうど豆しばのプロジェクトが立ち上がった。

 何の商品を宣伝しているのか分からない豆しばのテレビCMだが、放映枠のコストは、実はプレゼントキャストが負担している。豆しばが何なのかと興味を持った視聴者が、インターネットで検索してドガッチのサイトにアクセスしてくれればいい。ドガッチは動画配信サイトで、テレビで見逃した人でも30秒のストリーミング映像が見られるから、ブログなどの口コミで認知度が高まっていくだろう。そうした思惑も含めて立ちあがったのが、このプロジェクトだった。超短編アニメーションをドガッチのCMとしてそのまま利用し、話題喚起とサイト誘引のために活用してしまおうという、新たな試みが始まった。