「撮像素子(ローパスフィルター)に付着するゴミ問題」は、デジタル一眼レフユーザー共通の悩みといえよう。特に、ゴミが付きやすい場所で撮影しているのに、ゴミに気づいても掃除もできないような状況にいるとなおさらだ。

 撮像素子のゴミをふるい落とす機構は、ニコンのデジタル一眼レフカメラではD300で初めて搭載されたが、それがこのD700でも採用された。「インテグレーテッドダストリダクションシステム」と呼ばれるこの機構は、イメージセンサーの手前にあるローパスフィルタを振動させることで、ゴミを除去するものだ。

 設定により、電源を入れた時や切った時、もしくはその両方などで自動的に除去動作を行うほか、メニュー画面から自分で行うこともできる。この機構を動かしている分、電池を余分に食ってしまうのだろうが、筆者は電源のオンオフ双方でクリーニングを行う設定で撮影した。目立って電池の減りが早いということもなく、また目立つゴミが付いていたということもなかった。

 撮像素子が、D3と同じFXフォーマットのCMOSセンサーであることは冒頭でも述べた通りで、その後の画像処理も包括的コンセプト「EXPEED」で処理されている。D700を使っていて、たまに画像がシャキッとしないなぁと思うことがたまにあったが、だからといってD3と比べてまったく異質の画像というほど違うわけではなく、オールマイティに使えるすっきりとした感じの画質といえよう。

 高感度撮影時のノイズの出方や画質に関しても、D3と同じように他のデジタルカメラでは味わえない低ノイズと豊かな階調を持っており、高感度を使った夜のスナップ撮影などの新たな分野にも積極的に挑戦できる。

 このD700は、発売前からかなりの人気を集めており、極端な品薄も見込まれているという。D3ほどの大きさはいらない、少しでも荷物を軽くしたいというユーザーには、もってこいのカメラといえるだろう。

 何といっても、D3とD700は20万円近い価格差があり、この差額分でレンズやオプションが買えるのは大きな魅力だ。個人的には、開放F値の明るい単焦点レンズと組み合わせてスナップ撮影に使ってみたい、と思わせるカメラである。

FXフォーマットの中心部分だけを切り出すことで、DXフォーマット相当として撮影することもできる。いわば、カメラ内でトリミングする状態だ。この機能を設定している時は、ファインダー内に写る範囲を示す枠が表示される(ISO200、1/640秒、F4)

ピクチャーコントロールを使うと、色調をスタンダードやビビッドなど好みのものに変えられる。今回はカラーでもよかったのだが、あえてモノクロにしてみた。微調整によりフィルター効果を変えることができるので、木目などを引き立てるため赤を選択してみた(ISO200、1/125秒、F8)

雲が多く、キレイな夕陽になってくれなかったのが残念だが、カメラはAWBでも見た目に近いナチュラルな発色に仕上げてくれる。太陽の部分を強調するため、-2/3段の露出補正を行っている(ISO200、1/125秒、F8)

■「D700」のココが○、ココが×!
ポイント 評価 コメント
機能 上位機種にはない撮像素子のゴミ取り機能を搭載しながら、基本的な部分はD3が持つ機能を踏襲していて、現時点では十分すぎるほどの機能を持ったカメラといえる。使いこなせばこなすほど、使いやすいカメラになるはずだ。
画質 D3と同じように、高感度でもキレイな画質だ。暗い場所での手持ち撮影やスポーツ撮影で威力を発揮してくれるだろう。AWBは、完璧ではないがしっかりと働いてくれ、難しいことを考えずにカメラ任せで撮影しても失敗は少ない。
デザイン まさにD3を小さくしたようなデザイン。ペンタ部が大きくしっかりとしていて、カメラらしいデザインに好感が持てる。MB-D10を付けると、さらに偉そうな外観に。
操作性 個人的には、一部なじめない部分もあるが、基本的には操作系が統一されていて使いやすい。ただし、細かな設定を増やし続けているせいか、メニューがだんだん複雑になっているのが気になる。
価格 手ごろという割には、ずいぶんな大金を払わなければ入手できない。それでも、大きい撮像素子の描写を楽しめることを考えれば、そしてそれがどうしても必要ならば安い買い物になるだろう。

(星 智徳)

製品名 D700
発売 ニコン(http://www.nikon-image.com/jpn/
希望小売価格 オープン
実売価格 32万8000円
撮像素子 35mm判1287万画素CMOSセンサー
有効画素数 1210万画素
手ぶれ補正機能 一部レンズで対応
レンズ オプション
撮像素子のごみ取り機構 あり
撮影範囲 使用するレンズに依存
シーン撮影モード なし
最高記録解像度 4256×2832ドット
ISO感度 オート、ISO200~6400相当(ISO200に対して1段までの減感、ISO6400に対して2段までの増感が可能)
動画撮影機能 なし
記録媒体 コンパクトフラッシュ/マイクロドライブ(UltraDMA転送対応)
液晶モニター 3型TFT(92万画素)
ファインダー 光学ファインダー(視野率95%、倍率約0.72倍)
電源 専用リチウムイオン充電池
撮影可能枚数 約1000枚
PCとの接続 USB2.0
PictBridge
外形寸法、重量 147(W)×123(H)×77(D)mm、995g(本体のみ)
ボディカラー ブラック
発売日 2008年7月25日