欧州でスタートしたカーシェアリング、スイスには会員7万人のサービス会社も

 カーシェアリングはそもそも、ヨーロッパでスタートした制度だ。複数の人が一台のクルマを所有し、自動車の所有に必要な費用(購入、維持、燃料など)を、全員で折半する。そして互いの都合を調整しながら、好きな時間帯だけ利用するという仕組みだ。自動車への過度な依存を抑制し、渋滞緩和や環境保護も実現できるとあって、1970年代から欧州で普及し始めた。日本でも、マンションなどの集合住宅で同種のカーシェアリングを実施している例が増えている。

 こうした小規模な地域内コミュニティによるカーシェアリングが発展して登場したのが、「シティカー/パブリックカー」という考え方だ。公共機関や企業が自動車を所有し、あらかじめ登録したユーザー向けに自動車の貸し出しを行う。世界で最も早くからサービスを始めたスイスでは、7万人を超えるユーザーを擁する巨大事業者も登場している。

 日本でも1990年代後半から、企業による個人向けカーシェアリングサービス(シティカー/パブリックカー)が始まった。オリックス自動車の場合は、首都圏(東京、神奈川、埼玉)、名古屋、京都に加え、金沢、大阪、神戸などの事業者と提携。全国196拠点で事業を展開し、会員数はすでに1500人を超えた。マツダレンタカー、トヨタレンタカーなどのレンタカー会社や、自動車メーカーから独立したウィンド・カー、エブリカなどもカーシェアリングサービスに参入している。

オリックス自動車レンタカー営業本部カーシェアリング部の高山光政部長。プチレンタのシステムが返却時に走行距離や料金を表示するのは、利用者が移動コストを意識することで、無駄なクルマの利用を減らすように意図したという(画像クリックで拡大)

 プチレンタ担当の高山氏は、「私たちが目指しているのは、第4の公共交通システムを作り上げることです」と語る。同社は1999年9月に神奈川県・横浜市で行われた電気自動車の共同利用実験に参加して以来、国内におけるカーシェアリング事業のパイオニアとして活動してきた。

 「カーシェアリングは、利益を上げることだけが目的の事業ではありません。この仕組みを浸透させることによって、環境への負荷が減って地球温暖化の防止に貢献できます。また、渋滞緩和などによってクルマの利用者みんながハッピーになれます」(高山氏)。

 国内でも普及が一段と進みそうな個人向けカーシェアリング事業。都市部では駐車場の確保が難しく、貸し出しステーションの地域カバー率がなかなか上がらないといった課題はあるものの、人々のエコ志向に乗って堅実な拡大が続いていくことは間違いなさそうだ。


(文/椿 浩和)