人物を撮るための機能は、これでもかというほど充実している。もはや定番となった顔認識機能はもちろん(登録した顔を優先する機能もある)、笑顔を検出して自動的にシャッターを切る「スマイル検出オートシャッター」や、自分撮りの際に顔切れしていない状態になったらシャッターを切る「自分撮りオートシャッター」、ふんわり美肌に撮る機能など、きれいな写真撮影を便利な機能でバックアップしてくれる。

 なかでも、失敗写真の典型例とされる手ぶれを防ぐための機能として、「ブレ検出オートシャッター」を搭載している。これは、シャッターボタンを押した時にはシャッターが切れず、ライブビュー画像の動きを検出して動きがなくなった瞬間にシャッターを切るというもの。シャッターボタンを押してからシャッターが切れるまでじっと待つことになるのだが、シャッタースピードが低速になってしまう場合や、ぶれが目立ちやすい望遠側でかなりの効果を発揮した。

 ただし、常に動きのある車窓の風景などを撮影しているような場合は、カメラがブレていると判断していつまでもシャッターが切れないこともある。また、このタイミングで切りたいという時に切れないのが、ちょっとストレスに感じることもあった。しかし、使いようによってはなかなかおもしろい機能だと思う。

 このように、便利な機能を多く網羅しているものの、カメラとしての基本性能はいたってオーソドックスだ。画素数は810万画素と、近ごろのコンパクトデジカメとしてはちょっと控えめな感じではあるのだが、よっぽど大きなサイズにプリントするとか、極端なトリミングをしなければ、必要にして十分な画素数だ。

 レンズは35mm判換算で38~114mmの光学3倍ズーム。広角側の画角がもうちょっと欲しかったところだが、ズーム比はごく一般的だ。画像周辺が極端に流れるような描写になる点や、望遠側でかなりソフトな雰囲気になることがあるが、カメラのキャラクターを考えればそれほど気にするレベルではないだろう。

 ノイズの方は、感度を上げても画像処理が適切に行われているという印象で、ISO200ぐらいならばほぼ問題なく使える画質だ。これ以上感度を上げるとノイズが増えてくるが、劇的に増えるというほどではない。

ズームの望遠側は柔らかい描写になる。また、逆光気味の光線状態には弱いようで、全体的にぼわっとした雰囲気の画像になっている。被写体によっては気になるシーンもありそうだ(ISO64、1/250秒、F4.5)

 色も、標準の撮影モードでは不自然に感じることはなく、かといって物足りなさもなく、コンパクトデジカメとしてはよいバランスに仕上がっているといってよさそうだ。

 スペックにこだわる人にとっては、興味の対象とならないカメラかもしれない。しかし、失敗を減らすための便利な機能が多数盛り込まれていることから、メーカーがターゲットとしている女性だけでなく、記念写真を撮ることが多い人にお薦めできる。小さくて軽いカメラだけに、いつも持ち歩いて気軽に写真を撮ってほしいものだ。

望遠側の柔らかい描写も、花や人物を撮る時にはソフトフォーカス的な効果が得られて、好ましく感じる場合もある。建物の影でちょっとオーバー気味の露出になり、桜が白飛びしてしまったが、こんなシーンにしては頑張って描写している(ISO64、1/160秒、F5.9)

よく手入れされた庭先を撮影。光の入り方がやや微妙だが、陰影や砂利の質感をよく描写していると感じる(ISO64、1/320秒、F5.6)

鮮やかな緑色だが、不自然さはあまり感じられない。松の木もよく描写できている。日中の屋外ということで、絞りがある程度絞られたため、画像周辺の描写もかなり改善されてシャープな写りだ(ISO64、1/200秒、F5.6)

風景モードを使って桜を撮影。青空の色が強調され、シャープさも多少強くなっている。以前のEXILIMシリーズでは、色がもっと極端に変化したように記憶しているのだが、それと比べれば自然な仕上がりだ(ISO64、1/320秒、F5.4)

■「EXILIM ZOOM EX-Z80」のココが○、ココが×!
ポイント 評価 コメント
画質 細かいことを言い出せばキリがないのだが、価格を考えればよく写っているといえる。普通の撮影モードではナチュラルに、色を強調したければベストショットモードを活用すれば、ある程度思った通りの仕上がりにできる。
デザイン 可もなく不可もない、といったデザインだ。すっきりしすぎている印象だが、逆にいえば自分の思い通りにデコレーションする余地が残されているといえるかも。ボディーカラーの選択肢が豊富なのも個性的でよい。
操作性 機能を詰め込んでいない分、少ないボタンでも簡単に操作できるように配慮されている。なかでも、ワイド液晶の右端におもな撮影設定が常時表示されていて、ボタン操作で簡単に変えられる点は筆者のお気に入りだ。
コスト
パフォーマンス
画質やボディーの質感にこだわりを持つ人には不満かもしれないが、実売価格が手ごろなことを考えれば、機能や画質、質感は十分だといえるだろう。安くてそこそこ写るスリムカメラが欲しい、という人にオススメできる。

(星 智徳)

製品名 EXILIM ZOOM EX-Z80
発売 カシオ計算機(http://dc.casio.jp/
希望小売価格 オープン
実売価格 2万4800円
撮像素子 1/2.5型829万画素CCD(原色フィルター)
有効画素数 810万画素
レンズ 光学3倍ズーム(35mm判換算38~114mm相当)、F3.1-5.9
手ぶれ補正機構 なし
撮影範囲 40cm~∞
マクロ撮影範囲 10~50cm(ワイド端)
シーン撮影モード 30種類
最高記録解像度 3264×2448ドット
ISO感度 オート、マニュアル(ISO64/100/200/400/800/1600)
動画撮影機能 Motion JPEG形式(848×480ドット)、音声付き(モノラル)
記録媒体 SDメモリーカード、内蔵メモリー(約12.4MB)
液晶モニター 2.6型ワイドTFT(11.5万ドット)
ファインダー なし
電源 専用リチウムイオン充電池
撮影可能枚数 約210枚(CIPA規格による測定)
PCとの接続 USB2.0
PictBridge 対応
外形寸法、重量 89.7(W)×51.7(H)×19(D)mm、100g(本体のみ)
ボディカラー ビビッドピンク、グリーン、ブルー、ピンク、シルバー
発売日 2008年2月15日