「シネマ最前線」は日経エンタテインメント!誌がお届けする映画界のトレンド&マーケティング情報です。今週の映画興行成績と、週末公開される話題作について、隔週金曜日に掲載します。

 スクリーンから映像が飛び出して見える「3D映画」に米国の映画界が注目している。

 全米映画館主協会は3月10~13日までラスベガスで、コンベンション「ショーウエスト」を開催した。映画会社の幹部が出席したパネルディスカッションの最大のテーマが3D映画。「今後、3D映画は観客増の起爆剤になる」と、映画館主に対し3D映画システムの導入を促した。

 3D映画の上映には、専用のデジタルプロジェクターと特殊なメガネが必要だ。米国では3D映画システムの普及に弾みがついている。昨年3月公開のディズニーアニメ『ルイスと未来泥棒』は、581スクリーンで3D上映され、総興行収入の28%に当たる710万ドルを上げている。3Dスクリーンは今年1500以上、来年には3000まで広がるとの声もある。

 普及が進むのは、3D映画は映画館でしか楽しめないからだ。米国ではシネコン同士の競争が激しく、また映画人口はDVDやネット配信に押されて伸び悩み気味。「3D映画はアトラクションのような楽しみ方ができ、集客に結びつく」とシネコン側は期待している。一方、映画会社側も観客増への期待に加えて、別の思惑もある。3D映画は盗撮しても見づらいため、海賊版対策につながると考えているのだ。

 3D映画の人気を広めそうなのが、今夏公開予定の『センター・オブ・ジ・アース 3D』だ。ジュール・ベルヌのSF小説『地底旅行』が原作で、ディズニーシーの人気アトラクション「センター・オブ・ジ・アース」の映画版といえる内容。主演は『ハムナプトラ』シリーズのブレンダン・フレイザーで話題性は高い。

『センター・オブ・ジ・アース 3D』
前人未到の地底世界を描くSF小説の名作「地底旅行」を映画化。(8月公開/ギャガ・コミュニケーションズ配給)(画像クリックで拡大)

有名監督が次々と製作

 来年以降、有名監督たちも次々と3D映画を製作する。『タイタニック』以来11年ぶりにジェームズ・キャメロンが監督するアクション映画『アバター』を筆頭に、ロバート・ゼメキス、ティム・バートン、ピーター・ジャクソンといった監督が計画している。また、ドリームワークスが製作するCGアニメ『モンスターズVSエイリアンズ』や、ディズニーの人気アニメ『トイ・ストーリー』も3D版が公開予定だ。

 なぜ監督たちは3D映画に乗り気なのか。『センター~』のエリック・ブレヴィク監督は語る。「カラーの登場や、サウンドシステムが変わったときもそうだけど、作り手は新しい技術をどんどん取り入れ、映画体験をより素晴らしいものにしたいもの。大きなスケールで作るファンタジー映画や歴史ものは、今後すべて3Dで作られる時代になっていくと思う」。

 デジタル技術が進歩したことで、以前よりも3D映画が作りやすくなっていることも製作を後押ししているという。

 一方日本では、テーマパークのアトラクションか、一部のシネコンでしか3D映画を楽しめなかった。ところが、昨年12月に大手シネコンチェーンのティ・ジョイが8カ所、ワーナー・マイカル(WM)が18カ所に上映システムを導入している(WMでは、導入済みの所とあわせて計20カ所に)。

 WMでは、3D上映劇場で無料体験イベントを3月22日から実施したり、4月5日から40分間の科学映画『シーモンスター』を上映するなど、3D映画に力を入れている。

 また、『センター~』の日本公開にあたり、配給元のギャガ・コミュニケーションズでは、上映システムを導入していない映画館でも3D映画が楽しめる特殊メガネで対応するという。

 リードする米国を追って、日本でも3D映画の普及が広がりそうだ。

今後公開が予定される主な3D映画
作品名 内容
08年 センター・オブ・ジ・アース 3D SF小説「地底旅行」をブレンダン・フレイザー主演で映画化
09年 アイス・エイジ3 人気CGアニメシリーズの第3弾は3D映画に
アバター ジェームズ・キャメロンが11年ぶりに監督するアクション映画
クリスマス・キャロル ロバート・ゼメキスが「クリスマス・キャロル」を題材に監督
トイ・ストーリー3D 大ヒットしたCGアニメを3D化
ピラニア3D 78年に公開されたホラー映画を3D化してリメイク
マイ・ブラディー・バレンタイン3D 81年に公開されたホラー映画を3D化してリメイク
モンスターズVSエイリアンズ ドリームワークスが製作する3DCGアニメ
10年 アリス・イン・ワンダーランド ティム・バートンが『不思議の国のアリス』を題材に監督
シュレック・ゴーズ・フォース 人気CGアニメシリーズの第4弾は3D映画に
トイ・ストーリー2 3D 大ヒットしたCGアニメを3D化
トイ・ストーリー3 人気CGアニメシリーズの第3弾は3D映画に

(文/安部偲、日経エンタテインメント!編集部)