平均視聴率1ケタ台のドラマが6本と苦戦が続く1月クールのドラマ。その中で、平均視聴率11.24%(3月17日時点)と比較的健闘しているといえるのが、香里奈主演の『だいすき!!』(TBS系)である。

 原作は愛本みづほの人気漫画『だいすき!! ゆずの子育て日記』(講談社)。知的障害を持つヒロイン・柚子(香里奈)が、周囲のサポートを得ながら自分の手で大事な一人娘・ひまわりを育てていく姿を描いたハートウォーミングストーリーだ。視聴率は第3話こそ9.1%と10%を下回ったものの、第7話では12.8%を記録するなど、常に10%台と安定した人気をキープしている。そして、ついに3月20日に最終回を迎える。

 知的障害を持つ主人公を描いた連続ドラマには、これまで『ピュア』(フジテレビ系;1996年)、『オンリー・ユー~愛されて~』(日本テレビ系;1996年)、『聖者の行進』(TBS系;1998年)、『アルジャーノンに花束を』(フジテレビ系;2002年)、『僕の歩く道』(フジテレビ系;2006年)などがある。“ハンデを背負った主人公”はドラマのモチーフとして申し分ないが、その分、演じる役者には非常に高い演技力が求められ、難易度も高い。また、デリケートなテーマだけに軽はずみな演出やストーリー展開は禁物であり、作る側も相応の準備と覚悟をもって臨まなければならない。

 そういったプレッシャーに負けることなく、主演の香里奈の思い切った演技は視聴者をドラマに引き込むことに見事に成功している。その演技は『ピュア』で抜群の演技力を見せた和久井映見と双璧(そうへき)といっても過言ではない。これまで彼女にモデル然としたイメージしか持っていなかった人には、新しい一面が存分にのぞけたはずだ。その意味ではこの作品は彼女のキャリアにとって大きなターニングポイントになるだろう。

 また、3人の女性脚本家(渡辺千穂、篠崎絵里子、荒井修子)による脚本も、丁寧かつ登場人物に対する優しさが感じられ、視聴者が作品世界に違和感なく入り込むことに一役買っている。脇を固める役者たちの演技もヘンに主張することなく、柚子とひまわりを温かく見守っているようにすら見える。加えて、柚子の愛娘・ひまわり役を演じる松本春姫(幼児期)、佐々木麻緒(幼稚園期~)の演技も素晴らしい。『だいすき!!』の成功はまさに、そんなチームワークによる勝利といってもよい。ちなみに、今クールは『薔薇のない花屋』(フジテレビ系)で雫役を演じる八木優希をはじめ、『斉藤さん』(日本テレビ系)や『エジソンの母』(TBS系)など子役に恵まれたクールといえ、彼らの純真な表情と演技に胸を打たれた人も多いはず。

 ただ、惜しむらくは、この『だいすき!!』をもってTBSの木曜22時ドラマ枠が一旦終了してしまうということだ。同枠は過去に『長男の嫁』(1994年)、『真昼の月』(1996年)、『ストーカー・誘う女』(1997年)、『魔女の条件』(1999年)、『マンハッタンラブストーリー』(2003年)、『弁護士のくず』(2006年)など、良質のドラマをたくさん輩出してきただけに非常に残念。ぜひとも復活してもらいたいものである。

(文/中村裕一)

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