寒い夜には、鍋で温まるのが日本の冬の定番。それだけに日本中にはさまざまな鍋があってそれぞれにうまいのだが、なかには名前を聞いただけではどんなものだか見当がつかない鍋もある。山口県の「周防大島みかん鍋」も、そんな分かりにくい鍋の1つだが、これが通信販売を始めて1カ月で150セットを売ったという人気の鍋でもあるのだ。

 とにかく、恐る恐る注文してみた。注文は予約制で、毎週木曜日にその週の注文分が発送されるシステム。関東地方の場合、到着が土曜日になる。賞味期限は発送日から4日なので、土曜か日曜の夕食にちょうどいい計算だ。

 クール宅急便で到着した「周防大島みかん鍋セット」は、だしやみかんはもちろん、魚介類から野菜まで入ったオールインワンのパッケージ。3~4人家族なら、ほかに買い物する必要のない完全なセットになっている。作るのも簡単。鍋にだしを入れ、具を入れ、みかんはオーブンで8分ほど焼いてから入れ、最後に野菜を入れて、煮立たせたら出来上がりだ。

「周防大島みかん鍋セット」は、だしや魚介類、みかん、薬味までパッケージされて4980円。3人ならお腹いっぱいの量(画像クリックで拡大)

鍋に張っただしに焼いたみかんを浮かべる。このときのだしと柑橘の混ざった香りが食欲をそそる(画像クリックで拡大)

 さっぱりめの海鮮鍋という感じだが、普通の鍋と違うのは、まず「鍋奉行御用達」という焼き印が入ったみかんが4個入っていること。さらに、つみれにはみかんの皮が練り込まれ、白玉粉にみかんジュースを加えて作った白玉団子「みかん白玉」も入っている。程よく漂う柑橘系の香りが食欲をそそり、魚介の生臭さも消してくれる。みかん自体は単に丸ごと鍋に浮かべただけなのだが、みかんが想像以上に鍋の素材として貢献している。そして、薬味も「みかん胡椒」。青唐辛子とみかんを混ぜたもので、大分の柚子胡椒を少しマイルドにしたような味わい。少しピリ辛で香り高く、うどんにも合いそうだ。

みかん鍋は爽やかな香りと風味で箸が進む、具だくさんの海鮮鍋。カニみそに漬け込んだカニや、脂ののった白身魚、甘味のある海老がうまい(画像クリックで拡大)

 味は、薄口醤油とカツオをベースにしただしに魚介の旨味と柑橘系の香りが絡んで、後口さっぱり。確かに、こういう柑橘の香りが生きた鍋は珍しい。考えてみれば、寄せ鍋や水炊きは、ポン酢や柚子などで食べていたのだから、鍋と柑橘系の相性は良いのだろう。生臭さがなくて胃にもたれず、味はしっかりしているのに後で喉が渇くこともない、なかなか優秀な鍋といえる。