掲載を見送った「キャバクラ」

 広辞苑編集部が新しい言葉を収録するポイントは、「定着しているのか?」「そこまで必要か?」「文章が短くまとめられるか」などが重要。例えば今回、収録するかどうか、議論になり、結局、掲載を見送った言葉に「キャバクラ」がある。

 いったんは、解説文まで作ったそうだが、掲載を見送ったのはなぜか? 「若い女性がもてなしてくれる、酒が飲める店――といっても、それではキャバレーもそうだろうということになる。結局、キャバレーともクラブとも違う、キャバクラを定義づける解説文が書けないために見送りました」(上野さん)

 およそ10年おきに改訂を繰り返す広辞苑。前の版が出版されると、すぐに次の準備が始まる。だから六版の反省と第七版への準備の会議も、既に始まっている。

 ちなみに第六版は、五版でかなり増えたカタカナ語がさらに増えるだろうという予測や、21世紀最初の改訂ということで、世相を表す言葉、昭和を表す言葉を洗い直してみる、などの方針で編集が行われた。

 新語に関しては、毎回、10万語以上の候補から、少しずつブラッシュアップして、一万語前後にまで絞り込む。掲載候補の言葉も、10年近い期間をかけて検討する間には、浮き沈みするこことは珍しくない。例えば「SNS」という言葉は、まだ時期尚早だということで一度はボツになったそうだ。だが、その後のミクシイなどのヒットであっという間に広がり、復活して収録された。今回収録されなかった言葉も、次回の改訂で掲載される可能性はあるわけだ。

「その言葉を載せるかどうか決めるのは時間がかかります。分野別に専門家の先生と相談しながら決めていきます」と上野さん。

第六版は裏が透けにくいチタン入りの紙を使用。膨大なページ数ながら機械製本できたのは、この特殊な薄い紙のお陰(画像クリックで拡大)