EOS 1D MarkIII、そして前モデルとの違いは?

 センサーを除く基本スペックは、有効1010万画素のAPS-HサイズCMOSセンサーを搭載する1D MarkIIIとほぼ同じだ。外見上の違いも、1Ds MarkIIIは頂点のペンタ部がわずかに膨らんでいることと、エンブレムの色(1Ds MarkIIIは金、1D MarkIIIは銀)ぐらいしか見当たらない。

 1D MarkIIIでは、前モデルから操作体系やバッテリーが変更されたが、1Ds MarkIIIも同様の変更が行われている。従来のEOS-1Dシリーズの要素を残しつつ、下位モデル「EOS 30D」や「EOS 5D」の操作感を取り入れた。

 長らくEOS-1Ds・1D系を使ってきたユーザーからは、操作体系の変更に戸惑いの声も聞かれた。しかし「押して選択・離して決定」というボタン操作は、EOS DIGITALシリーズの中でも独特なものだった。また、ボタン操作は常に両手を使うため、状況によっては操作しにくいこともあった。個人的には煩わしさを感じていたので、この変更は歓迎だ。

 前モデルから加わったおもな機能としては、ライブビュー機能とセンサークリーニング、高感度側・階調優先の3つが挙げられる。これらも、1D MarkIIIと同様だ。

 ライブビューは、いまやデジタル一眼レフでも不可欠となった機能だ。必要性を感じないというユーザーも多いが、実際に使うとその便利さやありがたみがよく分かる。ただし、同時に発表された「EOS 40D」では可能なライブビュー時のAFは、残念ながら1Ds MarkIIIでは不可能だ。しかし、3インチに拡大された液晶モニターは視認性が高く、5倍と10倍の拡大表示も瞬時に行える。しかも、拡大位置をマルチコントローラーで自由に移動できるため、ファインダーよりもシビアなピント合わせができる。液晶の視野角が広いため、多彩なアングルでの撮影も可能だ。

 センサークリーニングも、いまや欠かせない機能のひとつだ。しかし、フルサイズセンサーにこの機能を盛り込むには、相当な苦労があったとも聞く。1Ds MarkIIIからわずか3日遅れで発表されたニコンのフルサイズセンサー機「D3」では、確かに搭載が見送られている。

 この機構で完全にゴミを排除できるわけではないが、付属ソフト「Digital Photo Professional」と連携させることで、データに写りこんだゴミを消すダストデリートデータ取得機能も搭載している。

記録メディアは、コンパクトフラッシュとSDメモリーカードのダブルスロットを継承。EOS-1D MarkIIIにはない点として、高速転送が可能なUltraDMA(UDMA)に対応しており、サンディスクの「Extreme IV」などの対応コンパクトフラッシュを使えば読み書きが速くなる

バッテリーは、EOS-1D MarkIIIと同じリチウムイオン充電池を採用。従来モデルのEOS-1Ds MarkII以前のニッケル水素充電池とは互換性がなくなったが、バッテリーの軽量化や長寿命化など、変更によるメリットは多い

 高輝度側・階調優先は、デジタル画像の大敵である白飛びを抑える機能だ。オンにすると、最低感度がISO100からISO200に上がるため、シャドウのノイズが若干増えることがあるという。これらのことから察するに、1段アンダーの状態で露光させ、中間調からシャドウにかけてを“増感”するのだろう。

 筆者は、ふだん1D MarkIIIをメインに使用しており、この機能を使うことが多い。今回、1Ds MarkIIIでも輝度差の激しい場面で使ってみたが、期待を裏切らない仕上がりだった。撮影するジャンルや好みによっては、常時オンにしてもよいだろう。

 このように、機能面では先発の1D MarkIIIとほとんど変わりないのだが、大きく違いを感じるのはファインダーをのぞいた瞬間だ。視野率約100%はもちろんのこと、驚異的なのは約0.76倍という倍率。参考までに列記すると、1Ds MarkIIとニコンのD3は約0.7倍、EOS 5Dが約0.71倍、フィルム一眼レフの最高級機「EOS-1v」でも約0.72倍だ。筆者はメガネをかけていることもあり、ファインダーの四隅を見渡すのに苦労した。視野の広さや細部まで確認できる高倍率は、風景や静物などじっくり撮影する被写体向きだ。