『Discommunication e.p.』(キャピトルミュージック/999円)
オリコンのウィークリーチャートで9位にランクインした9mm Parabellum Bulleのメジャーデビュー盤(画像クリックで拡大)

 Qomolangma Tomato、te'、凛として時雨、nhhmbase、OGRE YOU ASSHOLE、9mm Parabellum Bullet……聞き覚えのない人には何かの暗号のように写るかもしれないが、これらはすべて、いま高い注目を浴びている日本のロック・バンドだ(読み方は本文の最後に掲載)。

 「邦ロックの新世代」として、ひとくくりで紹介されることも多い彼らの共通点は、キャッチーなJ-POPやシンプルなパンクロックとはまるで異なる、ある意味で「難解」な音楽性にある。破壊的なギターサウンドや、変拍子を取り入れた複雑な曲展開などを特徴とするサウンドの数々は、ひと昔前ならコアな音楽リスナーにしか受け入れられなかったはず。しかし、そんな彼らが、いまや全国のライヴハウスを10代後半から20代前半の若いリスナーで満杯にしてしまうのである。

 こうした難解系バンドの中でも、いま最も突出した勢いを感じさせてくれるのが、9mm Parabellum Bullet(以下9mm)だ。今年5月に発表した限定盤『The World e.p.』は2万枚を完売。10月に発売したメジャーデビューシングル『Discommunication e.p.』は、オリコンのウィークリーチャートで9位にランク・インという快挙を達成。ここまで先鋭的な音楽がヒットチャートの10位内に登場してしまうのは、極めて異例の事態と言えるだろう。

 それにしても、表面的には決してポップでない彼らのサウンドは、どのようにして広く受け入れられていったのだろうか。9mmを輩出し、こうした難解系バンドの音楽シーンをリードしてきたインディーズレーベル「残響レコード」の代表、河野章宏氏はこう分析する。

 「(邦ロック新世代)の曲をコピーする若いバンドが増えているんです。ぼくたちは一貫してライヴ至上主義でやってきた。そのパフォーマンスを見た若い子は、こういうバンドをやってみたいと感じるんでしょうね。実際、9mmのバンドスコアを出したら飛ぶように売れるんですよ」。

 この分析からは、CDが売れないと言われる時代に、いかにしてバンドを浸透させていくかという問題に対する、インディーズレーベルならではの率直な考え方が読み取れる。河野氏は続ける。

 「いまは紙媒体の力がかなり弱くなってる。だから、「MySpace」(世界中に会員が存在する大規模なコミュニティーサイト)や「audioleaf」(インディーズバンドが楽曲や活動状況を公開できる音楽専門ポータルサイト)といったネット媒体には力を入れてますし、そっちの方が広がるんですよ」。

 ライヴで魅力を伝え、それをCDセールスにつなげていく難解系バンドたち。暗い話題の尽きない音楽業界にあって、彼らがシンプルでまっとうな方法論で着実な成長を遂げていることは、ひとつの光明と言えるかもしれない。

(文/澤田大輔;Spoo! inc.

<バンド名の読み方>
 ・Qomolangma Tomat=チョモランマ・トマト
 ・te'=テ
 ・凛として時雨=リントシテシグレ
 ・nhhmbase=ネハンベース
 ・OGRE YOU ASSHOLE=オウガ・ユー・アスホール
 ・9mm Parabellum Bullet=キューミリ・パラベラム・バレット