三菱自動車は、2013年6月25日~30日に米国コロラド州で開く「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」2013年大会に、EV(電気自動車)プロトタイプ「MiEV EvolutionII」の2台体制で参戦し、総合優勝を目指すと発表した(図1)。昨年EVクラス2位に入った「i-MiEV Evolution」を基に、モータ出力を80kWから100kWに、モータを3台から4台に増やし、合計出力を240kWから400kWと大幅に増やした。これは競合相手となりそうなドイツのToyota Motorsport社(TMG)「EV P002」の2013年型と同じ出力だ。

図1 「MiEV EvolutionII」。手前はドライバー兼監督の増岡浩氏
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 モータは昨年と同様に「i-MiEV」用を基本にしており、寸法も変わらない。ただし昨年は同じモータで制御ソフトウエアを変えて47kWを80kWに上げていたが、今年はハードウエアも変えて100kWとした。昨年は80kWを出せる回転数が限られていたが、今年はある回転数以上では常に100kWを出せる。このために弱め界磁を使うと効率が落ちるので、電池を増やして電圧を上げ、“力ずく”で出力を上げた。

 モータの配列は昨年の前1個、後ろ2個から、前後とも2個ずつになった。後ろは左右独立制御としてトルクベクタリングをする。前は2個のモータの駆動力を減速機で一度合流させ、差動歯車機構で左右に振り分ける。差動歯車機構はLSD(リミテッド・スリップ・デフ)付き。市販車の車両運動統合制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」と同じく、まずトルクベクタリングを使い、限界近くではブレーキによるヨー制御をする。

 電池容量は35kWhから50kWhに増やした。昨年は乗員が床近くに座り、その左右のサイドポンツーンに電池を2段積みにしていたが、今年は乗員の下を含め、床全面に1段積みで敷き詰めた。こうすると着座位置は上がるが、乗員よりも電池の方が重いので、重心は数十mm下がる。また、1段であるため電池の整備性が良くなった。

 空力には大幅に手を入れ、ダウンフォースを4倍以上に増やした。ホイールベースは昨年と同じだが、前のオーバーハングを伸ばし、その分をすべて整流に使った。昨年は直立していたラジエータを大幅に寝かせ、開口部を広げた(図2)。ラジエータを通った空気は上に抜ける(図3)。前縁の下側を通った空気はウイング状のカウルの下を通ってダウンフォースを発生し、タイヤの後ろに抜ける。

図2 前から見る。昨年より開口部が大きくなった。寝かせたラジエータが見える
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図3 ラジエータからの空気の出口。右上が車体の前方、ルーバの下に前輪がある
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(文/浜田 基彦=日経Automotive Technology)

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