冬季オリンピックにサッカー・ワールドカップ、ワールドベースボールクラシックと、スポーツの世界的大会が目白押しの2006年。この“大商戦”を機に、液晶やプラズマパネルを搭載する薄型大画面テレビがかなり値ごろになった。最も売れ筋の32インチは特に激戦地で、デジタルチューナー非搭載で10万円を切るモデルも登場しているが、その価格競争はより大型モデルにも飛び火。37インチ液晶や42インチプラズマが20万を切るに至っては、財布のヒモがゆるみかけている人も多いのではないだろうか。

 こうした薄型大画面テレビの“激安化”をリードする企業の一つがバイ・デザインだ。新製品の投入や既存製品の大幅な値下げを次々に断行し、激安化に拍車をかけている。そこで低価格戦略や今後の展望などについて、バイ・デザイン代表取締役社長の飯塚克美氏に聞いた。(聞き手・大谷真幸<デジタルARENA編集長>、構成・安藏靖志)

液晶テレビは圧倒的に32インチが売れ筋

バイ・デザイン代表取締役社長 飯塚克美氏
──現在、薄型テレビの売れ筋はどのくらいの大きさになっているのでしょうか?

飯塚氏:液晶では32インチが圧倒的ですね。世界的に見て大きな市場はアメリカとヨーロッパ、日本ですが、そのどこでも32インチが最も売れ筋です。

──アメリカではもっと大きなものが好まれたりはしないのですか?

飯塚氏:32インチ液晶は安いもので899ドルや999ドルといった価格帯で売っていますが、プラズマは42インチで安くても1600ドルや1999ドルなどと倍近くの価格です。プラズマは42インチから50インチに売れ筋がシフトしていますが、液晶は32が主流で、42インチ以上の液晶は苦戦しているのが現状ですね。

──バイ・デザインは日本のほか米国やヨーロッパでも販売していますが、現在の売上げ構成はどのようになっているのでしょうか。

飯塚氏:7:3で海外が多いですね。海外のほとんどが米国です。

国土の広い米国では販売チャンネル別に5つのブランドで展開

──それはすべてバイ・デザインブランドなんでしょうか?

飯塚氏:いえ、米国では全部で5つのブランドで出しています。OEMでもプライベートブランドでも提供しており、ブランドはバイ・デザインにこだわっていません。

米サムズクラブが販売する「eyefi」ブランド

 まず、サムズクラブ(米ウォルマート・ストアーズが展開するホールセールクラブ)では「eyefi(アイファイ)」というブランドで販売しています。ベストバイ(家電量販店)では「INSIGNIA(インシグニア)」、ウォルマート(ディスカウントストア)にはまだ発売していないのですが「tecHDisplay(テックディスプレイ)」というブランドです。そのほか、ホームシアターマーケット向けにOEMで「Nuvision(ニュービジョン)」というブランドを製造しており、これにコストコホールセール(ホールセールクラブ)やCompUSA(家電量販店)で販売する「byd:sign(バイ・デザイン)」ブランドを合わせた5つです。

──ブランドを分ける理由はどこにあるのでしょうか。

飯塚氏:ウォルマートやサムズクラブが今年の商談でバイ・デザインブランドを買いたいと言い出しました。でもウォルマートにバイ・デザインブランドを売られると安売りされるので、同じブランドを販売するほかのベンダーが困ってしまいます。米国はスケールが大きいから、会社ごとにブランドを作ってしまおうという戦略なのです。

──値付けは各ブランドを展開するベンダーに任せるということですね。

飯塚氏:そうです。ですから同じ製品を1000ドルで売るベンダーもあれば、2000ドルで売るベンダーもいます。

購買層はITリテラシーの高い“パワーユーザー”が中心

──バイ・デザインの購買層はどういった方が多いのでしょうか。

飯塚氏:どちらかというとやはりPCユーザーが多いですね。元々アキア(※)のシンパだった人や私を知っている人が、「ああ、(次のビジネスは)液晶テレビなんだ」ということで付いてきてくれています。

※飯塚氏が1995年に設立したパソコンメーカー。格安Windows機やアップルコンピュータ「Macintosh」互換機などでPC市場に旋風を巻き起こした。飯塚氏は2001年に同社を退社している。

 具体的なユーザー像としては、CATVやブロードバンドを導入している人です。CATVのSTB(セットトップボックス)があれば、BSも110度CSも地上波も、毎月いくらかの金額を支払えば見ることができますよね? PCユーザーはそういうことをご存じの人が多い。

──つまりCATVのSTBさえあれば、デジタルチューナーがなくても十分だということですね。

飯塚氏:そうです。メーカー各社とも色作りで特徴を出そうとしていますし、パネルの特性に違いもあります。しかしデジタルハイビジョンテレビの場合、100%同じとは言いませんが、かなり大手メーカーに近いところまで出せるのです。そういうところが分かる人がユーザーには多いですね。

 現在、地上デジタルチューナーを搭載した機種の投入を検討しているところです。チューナーの開発は終わっており、後はどのサイズに入れていくのかという最終段階に入っています。

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