02:ビジネスの今がわかる10冊 〈八重洲ブックセンター 推奨〉

本のコンシェルジュが選ぶ“この春のお薦め本”
紹介者:八重洲ブックセンター 本店 高田嘉正さん

担当ジャンル(フロア):2F
書店員歴:20年
1カ月の読書量(冊):10~15冊
お気に入りの書籍:本宮ひろ志『猛き黄金の国岩崎弥太郎』(集英社)※漫画

書店名:八重洲ブックセンター
住所:東京都中央区八重洲2-5-1
TEL:03-3281-8202
営業時間:月~金 10:00~21:00/土日祝 10:00~20:00
URL:http://www.yaesu-book.co.jp/

ドラッカー書籍が再びブームに

 ビジネス書の傾向としては、以前より若干は、値段の張る専門書的な書籍が売れる比重は減っています。それよりは、文庫本や新書、ソフトカバーなどで、語り口の易しいものがより読まれる傾向があるようです。分かりやすい例としては、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海[著]、ダイヤモンド社[刊])ですね。当初、小説仕立てでビジネス書としては奇抜な表紙ですから、敬遠される方もいらっしゃると思ったのですが、蓋を開けてみたら大変売れていまして、驚いています。20代後半から30代という若い方から火がついて、50代などの方にも訴えかけるようになりました。

 今回は敢えてお薦めしませんが、この本を読んで終わるのではなく、『プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか』(P・F・ドラッカー[著]上田惇生[編・訳]ダイヤモンド社[刊])などいわゆるドラッカーの古典とも言うべき書籍を読むことをお薦めします。

 単に易しい本が読みたいという要望から売れる傾向の本が変わったというよりは、不況で経費削減・減収などで自分で自由に使える書籍代が減る中、やや高額な書籍は確実な情報を得てから、つまり高名な方など信頼できる人のお墨付きをもらってから買いたいと思うようになったことが、簡単には手に取られなくなった要因なのでしょう。

 もう一つが時間のなさ。じっくり腰をすえて読む本を手に取るには、忙しすぎる人が多い。そういった意味でいうと、雑誌でも読書特集が多く組まれるようになり、書評が以前より力を発揮するようになっていると言えるのではないでしょうか。

書店員お薦め

『Twitterはやっぱりすごい!』

ジーニアスアットワーク[編] 産業編集センター[刊] 1155円 (2010年4月8日)

『Twitterはやっぱりすごい!』

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ビジネス書でもツイッターの話題は欠かせません。作りからしたら本書は軽いテイストなので良質とはいいがたい。ただ『ツイッターノミクス TwitterNomics』(タラ・ハント[著]、村井章子[翻訳]、津田大介[解説]、文藝春秋[刊])は社会現象的分析として大変良い本で、企業としてツイッターを戦略をどう使うかというレベルの方々、一歩踏み出した方々にはお薦めですが、難解すぎて一般ユーザーの感覚と合致していないんですね。その点こちらはツイッターの中で何があったかという事例や、水道橋博士へのインタビュー、そして稲川淳二の「つぶやき怪談」第一回などを紹介。こうした事例を知ることで、ツイッターが何かを知り、ビジネスには「遊びの延長」からのアイデアが大事だという感覚を磨くのにもお薦めです。

『未来のスケッチ~経営で大切なことは旭山動物園にぜんぶある』

遠藤 功[著] あさ出版[刊] 1470円(2010年2月23日)

『未来のスケッチ~経営で大切なことは旭山動物園にぜんぶある』

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著者は『現場力を鍛える』『見える化』など現場力の改善が企業の活性化につながるとおっしゃる先生です。これは、感動的です。お金も信用もなく華やかな動物もいなかった旭山動物園の復活の話です。一番大切なのは一番どん底の時。旭山動物園ではその時に、一人ひとりにやりたいことをスケッチさせた。その「14枚のスケッチ」こそが、復活の原動力ともなった「行動展示」などにつながった。廃園の危機から入園者数12倍になったこの話は、企業再生の勉強になります。

『逆命利君』

佐高 信[著] 講談社[刊] 520円(1993年2月2日/2009年12月復刊)

『逆命利君』

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実はこちらは17年前に出版されたものですが、絶版となっておりまして、その復刊に弊社も関わりました。タイトルは「命に逆らいて君を利する」という意味。本書は、住友商事元常務・鈴木朗夫が辿った反逆人生を描いたノンフィクションで、鈴木氏は、分かりやすくいえば、白洲次郎のような人であり、命令に逆らってでも主君のためになるような仕事をすることが下のものの心得だ、という生き方を、実際にした人だと言われています。商社の話自体は現在のビジネスシーンでは映えない面もありますが、こうした信念のある生き方は、今こそ見直したいものです。

編集部お薦め

『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略』

クリス・アンダーソン[著] 小林弘人[監修] 高橋則明[訳] 日本放送出版協会[刊] 1890円(2009年11月26日)

『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略』

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「フリーミアム(Freemium)」は、ベンチャー・キャピタリストのフレッド・ウィルソンの造語。ウェブにおけるビジネスモデルとしては一般的になっている。本書は世界的ベストセラー『ロングテール』の著者が21世紀の経済モデル「フリーミアム」を紹介した本。例えば音楽ダウンロードビジネスでどれだけ有料化の枠を作っても、コピー問題は消えないし「無料」との競争が待っている。だから、情報が自由(フリー)なインターネットを積極的に利用し、情報を開放してもうける新しいビジネスモデルが重要なのだという。本当に無料経済は利益を生むようになるのか。その先のビジネスチャンスについても考えさせられる。

『経営計画は1冊の手帳にまとめなさい』

小山 昇[著] 中経出版[刊] 1500円(2010年4月9日)

『経営計画は1冊の手帳にまとめなさい』

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著者は株式会社武蔵野代表取締役社長。東京経済大学卒業後に日本サービスマーチャンダイザー(現・株式会社武蔵野)に入社し一時独立後再度株式会社武蔵野に復帰、89年の社長就任以来、毎年増収増益の優良企業に育ててきた、カリスマ経営者とも呼ばれる人物だ。その経営計画は驚いたことに手帳サイズ。「数字」「方針」「スケジュール」という3つを決定し1冊の社員手帳にまとめ、それを全社員が持ち歩くことで、意識を高めてきた。思わず試したくなるメソッドだ。

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