Part1:カリスマ書店員&編集部による テーマ別お薦め本 50冊

 Part1では、2010年1月以降発売になった作品を中心に、カリスマ書店員と編集部のお薦め本を厳選紹介する。メディア、ビジネス、流行、暮らし、文学の5ジャンルから、「今」をとらえるための注目の本を50冊取り上げた。書店員が肌で感じたジャンル別のトレンドもどうぞ。

01:メディアの今が分かる10冊 〈有隣堂 ヨドバシAKIBA店 推奨〉

本のコンシェルジュが選ぶ“この春のお薦め本”
紹介者:有隣堂 ヨドバシAKIBA店 坂本浩彰さん

担当ジャンル(フロア):理工学書
書店員歴:8年
1カ月の読書量(冊):10冊くらい
お気に入りの書籍:伊藤計劃『ハーモニー』(早川書房)

書店名:有隣堂 ヨドバシAKIBA店
住所:東京都千代田区神田花岡町1-1 ヨドバシAKIBA7F
TEL:03-5298-7474
営業時間:9:30~22:00
定休日:ヨドバシAKIBA店に準拠
URL:有隣堂 http://www.yurindo.co.jp/
    ヨドバシAKIBA店 http://www.yurindo.co.jp/shop/y_akiba.html

電子書籍とツイッターが最大注目に

 メディアで注目されるのは、電子書籍関連の書籍と、なんといってもツイッター関連の書籍です。

 まずアメリカでiPadが発売される以前から、電子書籍など新しいメディアに関する本は、多く出版されていますが、場所の特殊性も影響してか、こちらの店舗では売れていると思います。また、書店として電子書籍に関する売り場戦略などは現状では具体化されていませんが話題には上がっていますね。ただまだ「活用する」というより「理解する」という段階ではあるでしょう。

 紹介する本にも書かれていますが、日本には独特な出版文化があり、電子書籍がアメリカと同様の広まり方をするとは思われていません。電子化するにあたっての障壁がありますし、たとえば音楽はデジタル化が浸透した今でも、アメリカ並にCDがまったく売れなくなるというわけではないですよね。もちろん、今後については不確定要素が多いので、書籍でも注目が集まっています。

 ツイッター関連の書籍についていえば、「How To」ものの実用書と、俯瞰した評論・分析書の2つに分類できます。そもそも「ツイッターって何?」という方も少なくないので、基礎講座的書籍が数多く出版される中、「ビジネスに生かす」などの運用本のほうが、最近では売れているように思います。

書店員お薦め

『電子書籍の衝撃』

佐々木俊尚[著] ディスカヴァー・トゥエンティワン[刊] 1155円 (2010年4月15日)

『電子書籍の衝撃』

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電子書籍が普及した先はどうなるのかということを、アメリカの事例を引きながら、日本の出版文化も踏まえながら日本ではどうなっていくのかということを、分かりやすく解説しています。一書店員として印象的だったのは、電子書籍の台頭によって本屋が無くなる、とは言っていないところです。電子書籍の普及によって、著者や出版社、書店といった出版文化の担い手たちのあり方が大きく転換していくことを具体的に述べながら、本の未来の可能性というところまで言及しています。電子書籍というメディアの一般論を知るのに適した1冊です。

『iPad vs. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏』

西田宗千佳[著] エンターブレイン[刊] 1500円(2010年3月12日)

『iPad vs. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏』

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こちらはよりiPadとキンドルにフォーカスした1冊です。その中から電子書籍はどうなっていくのかを述べています。やはりアメリカでの状況を取材し、日本がどうなるかを予測しています。iPadとキンドルを対立軸に取りそれぞれの特徴や戦略を紹介しつつ、ソニーなどその他のebookリーダーについても言及しながら、先進国アメリカにおける電子書籍の現状を丁寧に解説しています。電子文化先進国であるアメリカの動向は見逃せないということでしょう。

『REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方』

ローレンス・レッシグ[著] 山形 浩生[翻訳] 翔泳社[刊] 2310円(2010年2月26日)

『REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方』

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こちらはアメリカの著作権法の大家で、現在ベストセラーにもなっている『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』につながる内容で、商業経済と共有経済がいかにして共存(リミックス)していくかということが書かれています。著作権はすべて解放していくほうがいいという内容です。電子書籍がアメリカ発信のモデルであるということを考えると、参考になるでしょう。

『クラウド時代と<クール革命>』

角川歴彦[著] 角川書店[刊] 740円(2010年3月10日)

『クラウド時代と<クール革命>』

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著者は角川グループホールディングス代表取締役会長兼CEOですが、この本では「クラウド・コンピューティング」によって、2014年に日本の産業構造は大激変する。けれど、現状では日本はアメリカ主導で動いていて、「アメリカの情報植民地の危機」に瀕していると述べています。このままではいけない、日本主導でクラウド・コンピューティングを進めていかなければいけないとしています。この先の情報戦略などを考えていく上で、読むことをお薦めします。

『マスゴミ崩壊―さらばレガシーメディア』

三橋貴明[著] 扶桑社[刊] 1470円(2009年9月18日)

『マスゴミ崩壊―さらばレガシーメディア』

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「2ちゃんねる」用語でマスコミを批判的に述べるときに「マスゴミ」というのですが、タイトルだけだとアンチメディア的にとれるものの、実際には現在のマスメディアのビジネスモデルを分析し、他のメディアの台頭によるマスコミの問題点、今後を論じています。特に第5章で述べられる「逆襲するネットメディア」については、新たなメディア戦略として興味深いところです。

特集:カリスマ書店員厳選
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