アウトプットすることを意識して「本」を読む

 本を読むときや、自分で何かを行動するときには、それをうまくアウトプットできるようにすることを常に考えています。それが、知識欲に左右してくる。

 ユトレヒトでの活動の一つに、「気になる人には直接会いに行って、とっておきの本を教えてもらう」というものがあるのですが、本の作者に限らずデザイナーでもカフェのオーナーでも、気になる人に会い、その人のお気に入りの本を紹介してもらうということをしています。本は、その人のバックボーンでもありますし、気になる人の読む本は、知りたくなりますよね。

 「もの」を紹介する連載もしているのですが、そこでは本つながりで紹介する「もの」をピックアップするようにしています。また僕とBACHの幅允孝さん(ブックディレクター)で交替でやっているラジオ番組があるのですが、そちらでは毎回テーマを決めてそれにあわせて話をしています。そうして必然的に、アウトプットする場所を持つことで、何かに出会ったときに「表現する」ことを意識してみていくことができますし、出会い自体にも貪欲になれます。

 もちろん、ユトレヒトでの活動もアウトプットの場です。

 野菜を買ったらそれをどう料理して人に出すか、ということと同じだと思っているんです。目的なく何かを吸収することは難しいけれど、伝える相手、場所があれば自然とその素材に対しての意識が高まる。だからこそ、アウトプットする場を持つことは大切ですね。

肩書きは「ブックファン」。本を紹介していきたい

 ちなみにこの「UTRECHT/NOW IDeA」は「生きている人の本(作品)だけを置く」ショップにしているのですが、それは、その作者自身を紹介するということもしたいと思ったからです。だから「生きている人」にこだわりました。自分が出会った表現者のサポートをするために、ショップで作品を販売しイベントを催すわけです。

 そしてさらに、本や表現者などに出会う中で得たことを、自分自身でも伝えていきたいと考えています。その場所として、連載やラジオがあるともいえます。

 こうした活動をしていると、新ためて肩書きを聞かれることが多々あります。でも実はそれが一番の悩みどころなんです。

 先日まで「ブックファン」という肩書きを提唱していたのですが、定着しないんですよ(笑)。「ブックディレクター」とは言いたくないですし…。僕にとって本は一つの「いれもの」です。たとえばパソコンも「いれもの」だと思うのですが、そのパソコンを紹介して売る人のことを「パソコンディレクター」とは言わないですよね。

 本当に、ただ本当に本が好きなんです。だって本は、便利でしょう。小さいけれど知識・情報・芸術などさまざまな面で「密度」があって、電気もいらず、持ち歩ける。こんな「いれもの」は、ほかにはそうそうないと思います。

 雑貨やポスターなどさまざまものを扱っていますが、これからも「本」を紹介していきたいと思っています。

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