天然と養殖、ここが違う! 赤身がおいしい天然、脂の乗った養殖

 マグロの漁獲規制で年々、流通量が増える養殖マグロ。小川さんに天然物と養殖物との見た目の違い、味の違いを聞いた。

 「養殖マグロはエサを大量に与えて、成長を促す。しかも狭い生簀(いけす)の中でたくさんのマグロを同時に育てるため、運動不足になります。一言でいえば、養殖マグロは“メタボマグロ”。捌くと脂分が多く、全身がトロのような印象。妙に白っぽいんですよ」

 ぱっと見ると脂分が浮き出ており、おいしそうに見える。特にトロ好きが多い現代人には、受けがいいという。

 「だが、マグロ本来の味は薄い。天然マグロを食べ慣れている人には、くどいと感じられるかもしれません」

 以前から養殖が盛んに行われているブリについてはどうか?

 「ブリもマグロと同様に、養殖物は“メタボ体質”です。脂分で身が白っぽく見える。一方、天然ブリは筋肉質で、薄いピンクみがかった色合い。味も養殖ブリに比べてさっぱりしています」

 ただし、ブリの養殖の歴史はマグロに比べてはるかに長く、そのため、メタボにさせないように育てる技術も生まれているという。

 「エサにカテキンを混ぜるなどして、メタボを防ぐ。ブリもダイエットに励む時代なのです」

天然・養殖:ブリ

【Yellowtail】 (アジ科/旬:12月~翌2月/注目栄養素:ビタミンB群=B1、B2、B6)

ダイエット中なら背側の切り身を食べる

 炭水化物をエネルギーに変えるビタミンB1、B2、B6などのビタミンB群に加え、タウリンや脂質が豊富なブリ。ただし、部位によって含有量に差がある。腹側は脂質が多く、背側にはタウリンや鉄分が多く含まれている。切り身を買うときの参考にしたい。

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(1)見た目が“筋肉質”で全身が引き締まっている

養殖物に比べて運動量が多いため、体全体の肉付きがいい。ただし肥満体ではなく、あくまで筋肉質。

(2)ヒレは傷が少なくピンとしていて美しい

広い海を泳ぎ回るため、尾ヒレが直線的にピンと伸びている。大小よりも、形状が見分けるポイント。

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(3)養殖に比べて赤っぽい部分が多い

切り身にすると、天然と養殖の違いは明らか。天然物は余分な脂分がなく、ピンクみがかっている。

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(1)運動不足になりがちなので丸っこい“メタボ体形”

一見、肉厚でおいしそうに見えるのが養殖物。だが、天然物と比べると、引き締まり感は少ない。

(2)生簀でもまれるためヒレが傷みやすい

狭い生簀でたくさんのブリを育てるため、魚同士が接触し、ヒレや体表に傷が付くケースが多い。

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(3)脂分が多いため全体が白っぽく見える

初心者でも簡単に見分けられるほど、天然物との差は歴然。脂分が多く、テカテカとした印象。

天然・養殖:マグロ

【Tuna】 (サバ科/旬:10月~翌2月/注目栄養素:鉄分)

脂の乗った養殖物はDHAやEPAが豊富!?

 赤身には鉄分、脂の多い中トロや大トロにはDHAやEPAが豊富に含まれる。したがって、マグロを食べるならいろいろな部位を少しずつ味わうと、幅広い栄養素が摂取できる。人気の本マグロは幼魚(メジマグロ)の方が栄養が豊富。

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(1)表面の色味は赤みが強め透明感が高くつやがいい

赤身の部分が多く、マグロ本来の味が強い。養殖物に比べて脂分が少ないため、日持ちもする。

(2)運動量が多いため健康的身がきゅっと締まっている

筋肉質のつややかな見た目。食べると、身にハリと弾力があり、しゃきっとした噛み応えが楽しめる。

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(1)脂分が多いため白っぽく赤身がほとんど存在しない

養殖物は全身がトロという印象。脂身が好きな人には、養殖の方がおいしそうに見えるかもしれない。

(2)狭い生簀で育ったため肉質がぷよぷよしている

天然物より、身の引き締まり感は少ない。舌の上で溶け出していくような軟らかさが養殖物の持ち味。

MR. JUDGE
(株)魚河岸三代目 小川貢一さん Kouichi Ogawa

1956 年、東京都生まれ。築地市場の仲卸業者「堺静」の3代目として魚を見る目を養う(同店は2003年廃業)。現在は魚料理店「魚河岸三代目 千秋」「同 はなれ」店主。『ビッグコミック』(小学館)連載の漫画「築地魚河岸三代目」では監修を務める。著書に『魚のさばき方と魚料理』(翔泳社)。

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