Part1:由緒正しき学び舎 0円大学

 ビジネスパーソンが再び「勉強」を始めるなら、空間そのものから知のオーラが溢れ出る「大学」がいい。ここで紹介する大学の施設は、いずれも歴史ある、由緒正しき学び舎だ。そこに佇む建造物や所蔵作品に触れるだけで、知的好奇心がかきたてられるに違いない。まずは「0円大学」の門をくぐってみよう。

明治から続く歴史ある大学の「学術標本」が「アート」に 東京大学 総合研究博物館 小石川分館

重要文化財に指定された学校建築

 緑豊かな小石川植物園の端にひっそり佇む朱色の洋館が「東京大学 総合研究博物館 小石川分館」だ。元は明治9年創建の旧東京医学校本館。1970年に国の重要文化財に指定された東京大学現存最古の学校建築を、2001年11月に一般公開した。

 ここで常設展示されているのが、「驚異の部屋」だ。

 研究につきものの学術標本も、日進月歩の学問において、役目を終えればゴミとなる。その用済み学術標本の美しさに着目し、アートとして再構成したのだ。

 きっかけは02年に行われた企画展。アーティストのマーク・ダイオンを招き、ゴミとなった学術標本を現代アート作品として蘇らせる展覧会を開催した。現在の常設展示はその要素を継承・展開されている。

明治や昭和初期から使われた本棚も展示棚に

 1階の部屋には明治時代に作られた爬虫類などの液浸標本、アザラシなど生物の剥製や骨格標本が並ぶ。生物関連でまとめられていると思いきや、隣には戦前の地球儀、世界の美術館の建築模型もある。一見、一貫性がないようだが、統一感があり心地よい。それは展示物が並べられた風格のある什器の影響もあるだろう。

 本棚や机は明治や昭和初期から学内で使い込まれた歴史あるもの。おびただしい数の生物標本の一部は、昭和初期のはしご付き本棚に整然と並べられ、格調高い“作品”に昇華した

美しく見せようと意図していない学術標本が結果的に美しい

 また、展示につきものの解説板が一切ない。ゆえに訪れた人は物の形をただひたすら見つめることになる。石膏でできた人体模型も、水の抵抗を調べるための船型模型も、意味を失った状態では一様にオブジェのように見える。決して美しく見せようと意図していない学術標本が、結果的に美しいという驚き。それを体感できるのが、この「驚異の部屋」の最大の狙いであり、魅力であるのだ。

 学術なのか、アートなのか。その境界をさまよう醍醐味を味わえる、おそらく唯一の場所であろう。

0円後録

コンセプトを知るために、公式HP「動画アーカイブ」を見ていたのでより楽しめた。

所在地 東京都文京区白山3-7-1
TEL 03-5777-8600
アクセス 東京メトロ丸の内線「茗荷谷駅」から徒歩8分
開館時間 10:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日 月・火・水曜(祝日の場合は開館)
URL http://www.um.u-tokyo.ac.jp/exhibition/annex.html
備考 小石川分館常設展示「驚異の部屋」開催中

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